2013年5月8日、東洋ゴム工業(以下トーヨータイヤ)はマレーシアのタイピン市に新工場を建設。竣工式が行われた。
マレーシアに200億円投資、60万平米の施設、年産500万本のタイヤを供給
トーヨータイヤは2011年4月にトーヨータイヤマレーシア センドリアン ハバットを設立。この会社は乗用車用タイヤ及びライト・トラック用ラジアルタイヤの製造・販売を目的としており、工場投資額は200億円、敷地面積60万平米という大規模な施設となっている。
竣工式式典の挨拶の中でトーヨータイヤの代表取締役会長である中倉健二氏は、
「第一期計画では順次生産設を導入し、年産500万本のタイヤ供給を可能にするもので、マレーシアを代表するトップクラスのタイヤ工場となります。後ほど皆様にも工場建屋をご覧いただきますが、我々は将来的に、同じ規模の工場建屋をこの敷地内に建設することが可能であり、2015年以降は、さらに生産規模を引き上げてまいりたいと意気込んでおります」と語った。
世界3極供給体制を構築
現在、トーヨータイヤは、北米を中心に展開している日東に加え、マレーシアのシルバーストーンを傘下に収めグローバルネットワークを作る一方、独自に日本、アジア・アメリカ世界3極生産供給体制を構築。中でもトーヨーブランドは、高性能・高品質を実現する製品を作ることで、「トーヨータイヤへの高い信頼感」「海外でのジャパンクオリティの実現」「ジャパンテクノロジーへの高い信用」「トーヨータイヤの品質へのこだわり」といったブランド力の実現を狙っている。そのため最新の工場に最新の設備を積極的に導入している。
詳細極秘の独自工法「A.T.O.M.」
トーヨータイヤは、「A.T.O.M.(Advanced Tire Operation Module)」と呼ばれる新工法による世界最高レベルのタイヤ生産技術を持っている。このマレーシア工場にもA.T.O.M.の要素技術を移植し、日本品質をグローバルに提供する。
A.T.O.M.の詳細は極秘事項ということで知らされていないが、本来はフルオートマチックのタイヤ工法。マレーシアでは人件費と機械化のコストのバランスを図りながら、セミオートマチックといえる工法が採用されているのだという。それでも現在アメリカ工場で採用されているものより製品の完成度はさらに高くなっているという。
マレーシア工場のコンセプトは、1エコロジカル、2高性能、3高品質、4スキルレスを掲げている。A.T.O.M.は煩雑な生産ラインをシンプルにできるという点でエネルギーミニマムと環境重視の工場=エコロジカルを実現。タイヤの生産面についても、性能、品質・生産効率、などを高い次元で達成する。さらにスキルレスでオペレーターへの負担軽減も可能にしている。
ちなみに現在は2ユニットのA.T.O.M.が設置され操業が始まったところ。正直なところまだ工場内には空間が多い印象だった。順次A.T.O.M.ユニットが設置され、2015年には最大500万本の生産能力にまで持っていく予定だ。