気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2013年10月18日付
●政労使協議、日立会長ベア検討表明、トヨタも賃上げ前向き (読売・10面)
●時速300キロ、レーシングEV、日産ルマン特別参加へ(朝日・11面)
●GM,乗用車にシェールガス ガソリン併用北米で来夏発売(毎日・7面)
●ブリヂストンが黒磯工場閉鎖へ、生産拠点統合(毎日・7面)
●米、債務不履行を回避、大統領「世界からの信頼に傷」(産経・1面)
●自動車税、燃費など加味複数見直し案、軽と高級車増税、総務省検討会が報告書(産経・11面)
● HVでトヨタ今季初Vなるか、20日、WEC第6戦(東京・13面)
●東南アジア攻略、ミャンマーから、スズキが描く逆転戦略(日経・11面)
●企業ブランド10年間調査,グーグル首位守る(日経・14面)
ひとくちコメント
きょうの紙面を見ると、自動車に関連する主なニュースが3本あるが、各紙の紙面でそれぞれの扱いがマチマチなのが興味深い。
その一つが政府、経済界、労働界の代表がデフレ脱却の政策課題を話し合う第2回政労使会議の様子。今回は、企業代表として日立製作所の川村隆会長とトヨタ自動車の豊田章男社長が初めて出席し、まるで、経団連の次期会長と「次の次」がそろい踏みのような人選である。
各紙の見出しを比べると、読売、毎日と日経は「日立会長ベア検討表明」と日立を大きく扱う一方で、産経と東京は「トヨタ賃上げ前向き」と、トヨタを大見出しにしている。バランスをとったのが朝日で「トヨタ・日立、ベア前向き」と掲載。
川村会長が「賃上げも選択肢の一つ」と発言すれば、豊田社長も「業績が上がって組合から要求があればそれを従業員に還元する」と述べたことが記事の根拠となっている。少なからず来春闘ではトヨタと日立は「賃上げ」の可能性があるが、それが他社にも波及するのかどうかはわからない。
もう一つは、総務省の有識者検討会の話題。来年4月の消費増税に合わせ、自動車関連の地方税制を見直すことを求めた報告書をまとめたことで、朝日は「軽自動車増税の方針」、毎日も「代替財源『軽』に上乗せ案」との見出し。産経は「軽と高級車増税」としている。
他方、日経は「減税、エコカーに照準,8%時購入の負担軽減、10%時燃費に応じ課税」としており、「増税」よりも「減税」を強調した見出しである。高級車はともかく、いずれにしても、庶民の足となっている「軽」のユーザーの税負担が重くなることは避けられそうにもない。
さ
らに、3番目の話題は、日産自動車が電力駆動レーシングカー「ZEOD RC」を横浜市鶴見区のニスモ(NISMO=ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)の本社で、国内で初めて公開したというモータースポーツファンには楽しみなニュース。読売と朝日が経済面で取り上げているが、他紙には掲載されていない。
発表会場には、NISMOの宮谷正一社長とともに開発に携わったミハエル・クルム選手らが出席。ただ、予定していた今週末(10月18日~20日)に富士スピードウェイで行われる「FIA世界耐久選手権」で車両の展示はするが、デモ走行は断念するという。
宮谷社長は「大変申し訳ない思いだが、それだけ我々が極めてチャレンジングな課題に挑戦していることの証だとご理解してほしい」と弁明した。レースは若者の車離れの歯止めにもなるが、ネガティブな情報でもオープンにする姿勢は評価できる。