マツダコネクトで進化、アクセラ搭載のBoseサウンドシステム

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写真提供:ボーズ・オートモーティブ株式会社
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サウンドシステム目線からのマツダコネクトのメリット

マツダの新型『アクセラ』には、新世代カーコネクティビティシステムであるマツダコネクトが採用された。ネットとの接続などが話題となっているシステムだが、サウンド面にも大きく貢献するという。

「アクセラのBoseサウンドシステムはマツダコネクトがあるため、サウンド面の作り込みが今まで以上にできました」とはBoseのシニアマーケティングプログラムマネージャーである中口豊氏。

つまり、オーディオ装備であるBoseサウンドシステムから言えば、マツダコネクトがあるおかげでサウンド面が有利になったというのだ。

クルマのサウンドシステムは、簡単に言えば3つのパーツで構成されている。それは、CDなどの音のデータを読み込むヘッド部分(多くの場合、カーナビが担当する)、音を増幅するアンプ、音の出口となるスピーカーだ。

ヘッド部にマツダコネクトのならではのポイント

マツダコネクトでポイントとなるのがヘッド部分である。従来のマツダ車向けのBoseサウンドシステムは、ヘッド部分のカーナビをユーザーが自由に選択できるようになっていた。これはサウンド的に言えば、音を読み込む部分が、カーナビの性能に左右されてしまうことを意味する。

ところが、マツダコネクトはカーナビのハード部分を標準装備とし、ソフトウエアは別途購入するというシステムだ。つまり、音を読み込むヘッド部分がひとつに決まっている。これは、サウンドシステムを開発する側から見れば願ってもない良い環境になるのだ。

「そうしたヘッド部が決まっているため、アクセラにはCenterpoint2(センターポイントツー)バーチャル・サラウンド機能がわかりやすい操作画面つきで搭載されています。これはステレオの音源を、よりいっそうライブ感溢れる立体的な音とする機能です」と中口氏。

マツダコネクトはオーディオのヘッド機能が標準装備のため、別途購入する必要はない。ユーザーの費用負担という意味でも有利だ。マツダコネクトの採用により、アクセラのBoseサウンドシステムは、サウンド面、コスト面、操作性という幅広い点でメリットを得ることができたという。

ライブ感を大切にするBoseのサウンド・ポリシー

Boseサウンドシステムの音にはどういった特徴があるのか。

「Boseはマサチューセッツ工科大学の教授であったボーズ博士によって設立されました。そこで博士がスピーカーづくりを始めたときは、コンサートホールで聞く体感の再現でした。ライブの音を目指す背景には、心理音響学の研究があります。心理音響学とは、耳に音楽が入ってきたときに、人間がどのように感じるかという学問です」

「創始者のボーズ博士の専門は電子工学ですが、心理音響学も勉強していて、ライブの音が人間には気持ちいいということが分かりました。そこでコンサートホールのシートで音を測定してみると、89%が壁や天井からの反射音でした。直接音は残りの11%。つまり、決まった空間、特にコンサートホールやクルマの中など、閉じられた空間では、間接音も考えないとうまくいかない、ということになりました」

情報の蓄積がBoseの強み

間接音を重視するため、Boseはスピーカーだけでなく、システム全体を扱うようになった。また、家庭用のオーディオだけでなく、スケートリンクや教会のような大型施設の設備用音響を提供することも実践してきた。その結果、ある空間に対して、どういうシステムを設置してどう音を出せば、よい音として聞けるのかという知見を数多く蓄積してきたことが、Boseの強みとなったのだ。

「Boseの音の特徴は何かと言いますと、3つあります。まず、低音から高音までをできるだけ忠実に再生すること。それを縦軸としますと、横軸はステージ感です。英語ではサウンドステージと言います。日本語では音場です。その広がり感というのが2つめ。そして3つめが音圧です。音圧は、実際に聞こえるもの。ワット数ではなくて人間の耳で聞こえるものです。これがライブのような高い音圧になっても歪まないこと。この3つを、Boseはトライアングルと呼んでいます」

CDの音源をアクセラに最適化する方法

そうしたポリシーの元、アクセラ用のBoseサウンドシステムのチューニングは、クルマの開発と並行して行われてきた。具体的には、アクセラの試作車の室内でオーディオを鳴らし、乗員の着座位置で、どのように音が聞こえるのかを測定・解析しながらチューニングを進めたという。

そうして実現したのが、左右どちらの席で聞いても、ボーカルや楽器が左右に偏らず、バランス良く定位し、臨場感を持って音楽を楽しめるようなサウンドだ。しかし、本来、CDなどの音源は、左右のスピーカーの中心に座ることを想定されて作られた、左右のサウンド・データしかない。楽器ごとにバラバラに調整できるデータではないのだ。それをどのように、左右のスピーカーからオフセットした位置に座る乗員が聞いて不自然にならないようにしたのだろうか。

「いくつかのパラメーターを調整し、9つのスピーカーから8チャンネルで出力することで実現しています。どこをどう調整するのかは各社のノウハウということで秘密です」

そのノウハウを活用したチューニングの結果が、音楽を立体的に聞かせるCenterpoint2 バーチャル・サラウンド機能であったのだ。また、ステアリングの根本の中にマイクを仕込み、室内の走行ノイズをモニターし、リアルタイムで音楽再生の自動補正を行うAUDIOPILOT2走行ノイズ補償システムも搭載。路面状況やスピードによって変化する走行ノイズに対応したサウンドを提供するという。

マツダ車におけるBoseサウンドシステムは、20年ほどの歴史がある人気装備である。直近でいえば、2012年11月に発売された新型『アテンザ』においては、全体の30.3%がBoseサウンドシステムを装着している。特に上級グレードとなるLパッケージでは装着率50%を突破している。そのため2013年11月1日のアテンザの改良に伴い、LパッケージにはBoseサウンドシステムが標準装備されることになった。

《鈴木ケンイチ》

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