【日産 エルグランド ハイウェイスタープレミアム 試乗】 キングの威厳取り戻すべく、迫力と実用性を強化…萩原文博

試乗記 国産車
日産・エルグランド 250 ハイウェイスタープレミアム
日産・エルグランド 250 ハイウェイスタープレミアム 全 17 枚 拡大写真

2010年に3代目が登場したラージサイズミニバン、日産『エルグランド』。世代が進む事にライバル達の猛追をうけ、初代が築いた“キングオブミニバン”の称号が揺らぎつつあった。

特に2代目は走行性能の向上を目指し低床プラットフォームを採用したことで、先代モデルより全高が10cm低くなると、「王者の風格を失った」、「ラゲージルームが狭くなった」という声がエルグランドオーナーからも聞こえるほどだった。しかし今回のビッグマイナーチェンジによってそういったネガティブな部分を大幅に改善。見た目の迫力だけでなく、実用性でもキングオブミニバンに相応しい威厳を取り戻した。

内外装ともに大幅アップグレード

試乗車は追加グレードの本革シートを標準装備する「250 ハイウェイスタープレミアム」。新色のボディカラー、インペリアルアンバーは5万2500円高だ。マイナーチェンジによってエクステリアはフロントグリルを大型化。そのグリルの全周をクロームメッキで囲むことで押し出し感を強め、高級感を高めている。フロントヘッドランプにはクラス初のLEDヘッドランプと目ヂカラを強調したシグネイチャーLEDポジションランプを装備。そして、新デザインのクリアコンビランプ、マルチスポークデザインに切削処理を施した専用18インチホイールを装着しラグジュアリー感を演出している。

インテリアは質感の向上と拡大がテーマ。このハイウェイスタープレミアムにはカラー、素材、フィニッシャーを一新したグランドブラックインテリアを採用。独特の風合いで肌触りの良いアンバーアクセントステッチを施したダイヤ型キルティングブラックメタリックレザーシートとカラードクロムを採用した専用グラデーションブラックメイプルフィニッシャーにより高級感を演出。そして室内の拡大では室内高を最大25mm高めることでフロントシート頭上のクリアランスを拡大させ、ウィークスルーもさらにしやすくなっている。注目はサードシートに240mmのスライド機能を追加し、ラゲージの床面を下げたこと。これによってサードシートを使用しながら、9インチのゴルフバックが最大6個積載可能となった。

スムーズに加速する2.5リットルエンジン

試乗を行った日は非常に寒かったのだが、座り心地の良い本革シートにはクイックコンフォートヒーターが装備され非常に重宝した。

今回のビッグマイナーチェンジでパワートレインの変更はない。試乗車は車両重量が1950kg、最高出力170馬力の2.5リットルエンジンでは走りが心許ないのではないかと思っていたが、力感は十分。アクセルを踏み込むと滑らかに加速し巡行速度に達するため、高速道路での合流や追い越し加速も苦にならない。コーナリング性能も低床プラットフォームとリアマルチリンクサスにより高い安定性を実現している。

高いリセールを狙うなら…

今回のマイナーチェンジでは、単なる化粧直しにとどまらずパッケージングにまで手を加えるという大がかりな商品力向上を図ってきた。ディーラーでは前期型を大幅にプライスダウンして販売しているケースもあるだろうが、5年後のリセールバリューを考えると前期型は不利かもしれない。どんなクルマでもフルモデルチェンジを行ったばかりの前期型のセールスは好調なため、中古車が多く発生し相場が下がりやすい。しかし後期型は装備の充実や前期型のネガな部分が改善され、クルマの熟成が進むものの、爆発的にセールスが伸びることが少ない上、中古車市場への流通台数が少なく高値安定傾向となりやすいからだ。

今回のエルグランドのようなビッグマイナーチェンジをおこなったモデルの場合、リセールバリューが高いのは圧倒的に後期型で、しかもレギュラーガソリン仕様の2.5リットル車、エアロパーツを装着した250 ハイウェイスタープレミアムは期待大だ。さらに高いリセールバリューを望むならオプションのツインサンルーフの装着をオススメしたい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

萩原文博 | フリーランスライター
中古車情報誌「カーセンサー」の編集部に大学在学中から18年在籍し、フリーランスの編集者となる。新車、中古車を問わずお得な買い方を紹介するバイヤーズガイドなどを得意とする。常に中古車相場をウォッチし中古車相場師とも呼ばれている。

《萩原文博》

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