【MVアグスタ ブルターレ800 ドラッグスター 試乗】ベース車とは一線画すハンドリングマシン…和歌山利宏

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MVアグスタ ブルターレ800 ドラッグスター(和歌山利宏氏)
MVアグスタ ブルターレ800 ドラッグスター(和歌山利宏氏) 全 42 枚 拡大写真

MVアグスタは、2012年初頭に『F3_675』をリリースし、その後、『ブルターレ675』『800』『F3_800』『リヴァーレ』を矢継ぎ早に登場させ、ミドルクラスの3気筒シリーズを充実させてきた。これまでは、『F4』シリーズによる高級路線だったMVアグスタだが、これらの3気筒シリーズは、価格も競合モデルと競えるリーズナブルさで、多くのライダーの選択肢に挙げられる存在となってきた。

F3_675の登場から、ちょうど2年後、このシリーズに加わったドラッグスターの正式名称は『ブルターレ800 ドラッグスター』。ブルターレ800の派生モデルである。

ブルターレが基本で、車重も基本ディンメンジョンも基本車と変わらない。しかし、フロントフェンダー、メーターバイザー状のビキニカウル、サイドカウルのデザイン処理、バーエンドミラーの装着やショートテイルのフォルムによって、フォルムは格段にアグレッシブである。また、シート後部両側のテールライトや、スイングアームにマウントされたライセンスプレートによるテール部には、迫力さえ感じる。

お断りしておくが、これは単なるスタイリングカスタムではない。スタイリング同様、ベースのブルターレとは絶妙に走りも差別化されているのだ。

ライディングポジションは、ブルターレと大差はなく、こちらのほうが自然なネイキッドスタイルにも感じる。だが、シート形状によって腰を後方に引きにくく、必然的に着座位置が前方寄りになる。また、ハンドルは幅が少々狭く、絞り角の着いたグリップを中央寄りで握ることになるので、グリップ位置も前方寄りだ。跨った状態では大差なくても、走っていると動的に前荷重しやすいわけだ。

ライセンスプレートがスイングアームにマウントされる影響か、前輪分布荷重が51.7%から51.1%に小さくされていて、軽くなったフロントに、ライダーが前荷重でバランスを補う方向なのである。ブルターレは腰を後方に引き気味にリヤに荷重し、快適な印象であるのに対し、ドラッグスターは前荷重で積極的に駆っていくイメージだ。

足回りは、前後サスペンションはユニットを共用するが、特にフロントの減衰力を強めにセッティング。そして、リヤホイールを6.00幅のF4用とし、200サイズの幅広タイヤを履く。

こうした変更によって、ステアリングの動きがキビキビとしていて、コーナー進入時の舵角の付き方を把握しやすい。漠然と寝かすのではなく、曲げることを実感しやすく、特にコーナーが連続する峠道で、楽しくなってくる。リヤに幅広タイヤを履かせたときにありがちな、リヤが異様に踏ん張る感じもなく、あくまでも素直だ。

コーナーでは、やや前荷重に身構えることで、一層、旋回性が高まる。ライポジと重量バランスの設定が、コーナリングにも現れているようだ。車体の基本はF3と同じだけに、コーナリングもF3譲りなのである。

こうしたハンドリングに合わせて、エンジンもシャープでレスポンシブ。エンジンと車体のマッチングもいい。エンジンは全域でフラットに立ち上がっていくトルク特性を持つが、1速で回るコーナーからの立ち上がりでは、トルクが一段と太くなる7000rpm辺りで、軽々とフロントが浮き上がってくる。とにかく、エキサイティングなのである。

《和歌山 利宏》

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