【ダイハツ タント & DAYZ ルークス 300km 試乗】ハイレベルにまとまった2台、長距離を共にして分かった真の実力

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ダイハツ タント カスタム RS
ダイハツ タント カスタム RS "SA" 全 16 枚 拡大写真

ダイハツ『タントカスタム』と日産『DAYZルークス』との300km比較レポート、第3回は両車の使い勝手をチェックしてみたい。

◆もはやモアスペース軽のマストアイテムとなった電動スライドドア

カタログの装備表を見比べてみると、2台共に採用されている装備は多い。今回の試乗車は車両本体価格が170万円前後という軽自動車としては最高価格帯の部類にあるモデルだけに、快適装備の充実振りは目を見張るものがある。

その代表例が両側電動スライドドアだ。2008年に登場したスズキの『パレット』がボンネット軽として初めて両側電動スライドドアを装着して以来、この手のモアスペース軽にはすっかりおなじみの装備になった。いまではほとんどのモアスペースが両側スライドドアを採用し、電動も選択できる。

出てきた当時は、「大型のミニバンならともかく、軽自動車に両側電動スライドなんてちょっと奢りすぎなのでは」と思ったのだが、実際に使ってみると、乗り降りや荷物の出し入れには、便利なことこの上ない。しかも運転席やリモコンで電動開閉でき、いちどどの便利さを知ってしまったら元に戻れないのも納得できる。

◆もうミニバンはいらない、余裕の居住空間

前後スライド量が大きく、リクライニング可能のシートバックを備える後席も両車の自慢だ。後部座席のスライド量はタントで240mm、DAYZルークスで260mmだが、タントには前席助手席側のロングスライド機構が備わる(座席を前方に出せるようにインパネがえぐられている)ので、助手席を前に出せば180cmの乗員が思いっきり足を伸ばしてもまだ余裕があるほどだ。

さらに、その後席をダブルフォールディングで後席足元に折りたたむことでフラットなラゲッジスペースを作ることができるのも共通。後席の窓に引き出し式のサンシェードを備えるのも同じであった。居住性については、モアスペース軽のライバルであるホンダ『N-BOX』やスズキ『スペーシア』などと大差はない、という印象だ。後部座席の余裕はミドルクラスのミニバンに匹敵するレベルで、3列目のシートを必要としないのであれば、十分すぎるほどの居住性を備えている。

◆細かな部分で両車に差が

居住性では高いレベルでの互角の実力を持つ両車だが、細かな使い勝手の面で両車の違いはある。たとえば、DAYZ ルークスには室内の空気を循環させる後席用サーキュレーターが頭上に備わり、助手席のシートバックにはテーブルが備わるあたりも気が利いている。ルームミラー内に車両周辺の状況を確認できる「アラウンドビューモニター」を内蔵するのも日産車ならでは。助手席下に前後スライド式のアンダーボックスがあるのもDAYZ ルークスだけだ。

一方、「タント」には、Bピラーをスライドドア内に内蔵したミラクルオープンドアがある。開口部は、Bピラーの残る車両と比べて圧倒的なまでに広く、アクセスが容易。乗り込みやすさ、荷物の出し入れのしやすさでは他のモデルの追随を許さない。また、運転席に座った状態のままで、助手席のシートバックを倒せることができ、同じく運転席側から簡単に助手席の前後スライドを可能とするのもタントならでは。運転席から助手席のタンブルやスライドをするにはちょっと力とコツがいるが、いちいち降りずに操作できるというのがまず素晴らしい。

また、タントは運転席まわりの小物入れにも感心した。ドライバーが必ず持つものといえば、「財布」「クルマのキー」「携帯電話(スマートフォン)」の3つ。それを、「財布は運転席目の前のふた付きの小物入れ」「クルマのキーはシフトゲートの下のスペース」「携帯電話は助手席の前(スマートフォンをカーナビとケーブルでつないだときに、ちょうど置きやすくなっていた)」と、使い方を簡単に想起させるようになっていたのだ。長年、子育てファミリー向けのクルマを作ってきただけあって、その知見の蓄積が大きいのだろう。使い勝手の良さでは、一日の長の分だけ『タント』に軍配を上げたい。

◆走りが魅力のDAYZルークス、総合力でカテゴリ随一のタント

モアスペース軽の最新モデルの2台だけに、両車はファーストカーとして使用するにも十分な実力を持っていることが分かった。しかし、こうして300kmを超える距離を走り、実際に使ってみると、両車の得意分野・苦手分野も明らかになった。

DAYZ ルークスは、シリーズ体が生まれたばかりで、開発が新しいだけシャシーの良さが印象に残った。しっとりとしたステアリングフィールも好ましい。また、アラウンドビューモニターのようなハイテクも日産車らしい魅力だ。ただし、ターボモデルにはアイドリングストップ機構がなく、シリーズとしても「衝突被害軽減自動ブレーキ」が選べないというのは、ライバル他車がいずれも用意している装備だけにマイナス要因だ。とはいえ、日産・三菱も手をこまねいている訳ではあるまい。今後の改良に期待したいところだ。

一方で、タントは後部座席のスライド幅や室内高など、数値面ではライバルに一歩劣るように見えるかも知れないが、実際に使ってみると、たとえば助手席のスライド幅を大きく取ったり、Bピラーをなくしてアクセス性を高めるなど、発想の転換で使い勝手を良くしている点を評価したい。スマートアシストやアイドリングストップといった軽自動車のスタンダードアイテムもぬかりなく揃えるあたり、さすがにこの分野のパイオニア、という印象だった。

《鈴木ケンイチ》

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