【シトロエン C3 試乗】3気筒エンジンもシトロエンらしさ健在…松下宏

試乗記 輸入車
シトロエンC3
シトロエンC3 全 14 枚 拡大写真

シトロエン『C3』にも3気筒1.2リットルエンジンとETG5を組み合わせた新パワートレーンが搭載された。更にスタート/ストップ機構(アイドリングストップ機構)も組み合わされ、ヨーロッパではピュアテックと呼んでいる。

新開発のEB2型エンジンは気筒数を減らすことなどによって重量が20%軽くなり、フリクションロスも30%減少したという。当然ながら燃費は大幅に向上して19.4km/リットルを達成している。

従来の1.6リットルに比べると、出力は120psから82psに、トルクは16.3kgmから12.0kgmへと大幅にダウンしている。スペックを見たときには、どれくらい走るのか不安な部分もあったが、実際にはとても良く走った。

可変バルブタイミング機構の採用などにより、最大トルクを発生する回転数が低くなって、中低速域でのトルクに優れることが、走りの良さにつながっている。

当然ながら3気筒にありがちな振動などはみじんも感じさせず、何も言われないで乗ったら4気筒と思ってしまうような印象だ。吹き上がりのフィールも上々で、走りには軽快感が感じられた。

強いていえば燃費は良くなったもののエコカー減税の対象に届かないのが残念なところだが、極めて魅力的な新エンジンであるのは間違いない。

5速のマニュアル・トランスミッションを電子制御化したETG5(エフィシェント・トロニック・ギアボックス)は、2ペダルで乗れるオートマチックモード付きのシングルクラッチ5速MTだ。

シングルクラッチはヨーロッパの小型車に採用例が多いが、変速時のトルク抜けが大きなネガになり、日本ではなかなか支持されないのが実情。

でもETG5は違う。ATやCVT並みとまでは言わないが、これまでのシングルクラックのような違和感いっぱいの走りではなく、ATとさほど変わらない感覚の変速を実現する。発進時にていねいに走り出せば、不満を感じることなく走らせることが可能である。

クリーピングが付いているので車庫入れなどのときに扱いやすいし、ヒルスタートアシスタンスも付いているから坂道発進も容易だ。

乗り心地については従来のモデルと基本的に変わらない。メカサスながらシトロエンならではの快適な乗り心地が味わえる。

シトロエンらしいゆったりした乗り心地と新パワートレーンによる軽快な走りで、C3は改めて魅力を高めてきた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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