『Aクラス』のプラットフォームをベースに、コンパクトSUVに仕立て上げた『GLAクラス』。FWDモデルも用意されるが、4WDの4MATICに乗ると、そのオフロード性能が一流であることが分かった。
そのスタイリングも一瞬Aクラスと見紛うほどよく似ているが、よく見てみればSUVらしいごつさを醸し出していて、やはり存在感はこちらの方がAクラスよりも高そうだ。ボディはAクラスより僅かながら大きい。具体的な違いとしては前後オーバーハングや、フロントトレッドなど。また車高は当然ながらGLAの方が高くなるが、それでもタワーパーキングに収まる高さにまとめ上げている。
試乗車は2リットル直噴ターボユニットを搭載する250 4MATICである。はじめにテストコースとして設定された専用オフロードコースを走る。驚いたことに数日来続いた悪天候で、路面はセミウェット状態。それにかなり起伏の激しいコースにもかかわらず、このコースをノーマルタイヤで何事もなかったかのように走り抜けてしまう実力を持つ。基本的にトルク配分は通常は100:0のFWDだが、オンデマンドで最大50:50と、後輪に50%のトルクを持って行ける。意地悪をしてかなり急な坂道で止めてみても、多少のホイールスピンは伴うが無事に登りきることが出来る。もう一度言っておくが、タイヤはオンロード用のノーマルタイヤだ。
元々Aクラスのサスペンションはかなり締め上げられた印象が強かったが、GLAも同様で、基本的に乗り心地は硬め。特に低速では不愛想な突き上げを食らうこともあるのだが、スピードが増すにつれてその印象はフラットなものに変わる。いかにも常用スピードが高いヨーロッパを意識した味付けといってしまえばそれまでだが、日本の道路状況だと少し硬めの印象はついて回る。
実はAクラスと比べてボディは少し大型化しているのだが、インテリアは少し狭い。特にそれを感じるのはリアで、実際問題ヘッドクリアランスはAクラスよりも50mmも小さい。比較したデータが4 MATIC車とAクラスのノーマル車だからということもあるのかもしれないが、データだけでなく、やはりリアの圧迫感は少し大きい。
2リットルターボユニットはこのサイズにして最高出力211psを持つから、アンダーパワーを感じることはない。むしろ我々の方が麻痺してしまって、これが当たり前と思っている節がある。因みにこのエンジン、先ごろ日産『スカイライン』の「200GT-t」に搭載されたエンジンとベースは同じものだ。
4MATICには、FWDに無いオフロード車ならではのギミックも装備されている。それはナビ画面に表示されるオフロードスクリーンというもので、車両の傾斜角や登坂時の傾斜などが表示されて、同時オフロード走行時は画面の路面もオフロード風に変えるようになっている。
というわけでせっかく買うなら、4MATICが良いのだが、オプションを含んだ総額は498万5400円とかなり高額。まあ、Aクラスのセグメントの値段を飛び越えてCクラス並みであるから結局はFWDのモデルが売れることになりそうな気がする。
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来36年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。