キング・オブ・ミニバンを名乗って登場した『エルグランド』は、発売当初はけっこう良く売れたが、その後はライバル車である『アルファード/ヴェルファイア』の後塵(こうじん)を拝するようになった。そこで、ビッグマイナーチェンジでテコ入れを図ってきた。
現行エルグランドはFF方式を採用するとともに全高を抑えたパッケージングで、ミニバンとして真っ当な方向のクルマ作りを目指した。ただ、そのことが押し出し感を弱めることにつながった面もあり、今回はまずそれが改良された。
大型化されたフロントグリルは力強さを感じさせる太い桟が横に配置され、その桟にメッキ処理が施され、グリル全体もメッキモールで囲まれる形になった。従来のモデルに比べると、格段に存在感が高まって押し出しの利いた顔つきになった。
同時に、ヘッドランプは主要モデルにLEDヘッドランプが採用され、シグネチャーLEDポジショニングランプを組み合わせることで、目力というか、眼光鋭い顔つきになった。
インテリアも上級グレードの「ハイウェイスター・プレミアム」に深みのある専用のブラックメープル・フィニッシャーを採用するなど、特別感と高級感を演出した仕様が用意されている。新設定の本革シートはいかにも手の込んだ仕上げという印象だ。
ほかに3列目シートのスライド量を増やしてラゲッジスペースの拡大を可能とするなど、使い勝手の向上を図っている。
今回試乗したのは4気筒2.5リッターエンジンを搭載した250ハイウェイスター・プレミアムで、今回の改良で新たに設定された2.5リッターの豪華装備グレードだ。
搭載エンジンなど基本コンポーネントについては変更を受けていないので、走りのフィールについては従来と変わらない。2.5リッターでもタウンユースから高速クルージングまでこれで十分という印象である。
250ハイウェイスター・プレミアムは、エンジンは2.5リッターながら装備の良さで選ばれているエルグランドの売れ筋グレードだ。新型エルグランドでは素直にこれを選ぶのが正解だろう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。