話題のスバル新型ワゴン、『レヴォーグ』は『レガシィ ツーリングワゴン』GTを彷彿とさせるスポーティなモデルだった。
スバルはレヴォーグの発売にあわせて、レガシィ ツーリングワゴンを廃止した。これは販売戦略を含めて、さまざまな思いがあってのこと。たしかにレガシィ ツーリングワゴンはなくなってしまったのだが、そのDNAはレヴォーグに見事に受け継がれていた。
そもそもしっかりと実用性を備えたワゴンがレガシィの魅力であり、ワゴンでありながら走りに妥協しないところがGT系の魅力であった。そうした意味からもレヴォーグ 2.0GT-Sはレガシィ GT系の正当な継承者であると言っていい。
まず2リットルターボで300馬力を発生するエンジン。リッター150馬力という出力は、『インプレッサ WRX STI』に迫る高出力。エンジン出力を中心にクルマの性能を調整するSiドライブでもっともスポーティな「S#」を選択すれば、3000回転あたりからググッとパワーを増すターボエンジンらしいフィーリングを満喫できる。さらにこのSiドライブを「I」(インテリジェント)モードにすれば、燃費を重視したセッティングとなり、高速移動時や渋滞路などでの燃費を稼げるほか、アクセルレスポンスも適度に緩くなり、ツーリングにピッタリのフィーリングを実現している。
GT-Sの足まわりにはビルシュタインのダンパーと18インチのタイヤが装着されている。この組み合わせから得られるハンドリングはたいへんスポーティで、峠道ではスパスパとクルマの向きが変わり、気持ちのいいドライビングを楽しめる。また、高速道路でも比較的どっしりとした走りができ、車線変更時の動きもクイックで気持ちいい。
唯一の弱点はアクティブレーンキープとの相性。意志を持ってのステアリング操作ではクイックなハンドリングが気持ちいいのだが、自分の意志とは関係なく動くアクティブレーンキープの修正舵では、若干反応がよすぎてドライバーが落ち着いてシートに座っていられない。タイヤの初期応答性をダウンさせるか、アクティブレーンキープの舵の入れ方に一工夫するか、といった印象。
しかし、全体としてスバルらしいクルマに仕上がっているのは間違いない。なによりもレガシィ GTのような走りもユーティリティも期待を大きく上まわるクルマで、従来のスバルファンはもちろん、新しいファンもたくさん獲得することは間違いなさそうだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。