試乗したのは11日に発表されたばかりの、メルセデスベンツの新型『Cクラス』C180 アバンギャルド である。
今回のCクラスは何から何まで新しい。メルセデスベンツの基幹車種として、負けられない戦いと未来を背負ってモデルチェンジされた。入魂の一作だ。
サイドボディに逆ハの字のキャラクターラインを持つ、現在のメルセデスラインナップのデザイン文法に沿っているのは当然、昨年登場したばかりの新型『Sクラス』が取り入れた、エレガントなリアクオーターのプロポーションやアルミシルバーと自然素材を効果的に使った上質な内装デザインを踏襲している。日本には入っていないエクスクルーシブ仕様のグリルで見比べると、遠目ではSクラスと見分けがつかない「ベイビーS」とも騒がれた新しくも上質感があるデザインである。
新型のC180が1.6リットル直噴4気筒ターボのダウンサイジングエンジンを採用することも時代の流れ。最大トルクの250Nmを1200-4000回転で発生してしまう156psエンジンは、ややサイズアップした新型Cクラスのボディを軽々と加速させる。
ボディが軽く感じられる理由はエンジンだけではない。アルミニウムハイブリッドボディの採用による軽量化と低重心化が、減速時やコーナーの飛び込みの身のこなしの良さとして感じることができた。
注目のインテリジェントドライブ装備は、Sクラス、『Eクラス』と同等のものが用意され、C200、C250では標準装備であるのに対して、C180およびC180 アバンギャルドでは「レーダーセーフティパッケージ」として19万5400円のセットオプションとなっている。
私はこの価格にこそメルセデスの「本気」を見た。あなたがもしCクラスを買おうと考えているのならば、「レーダーセーフティパッケージ」を選ばない手はない。騙されたと思って装着してほしい。
ステレオカメラを使ったスバル「Eyesight(アイサイト)」が10万円のオプション設定でブームを巻き起こしたが、メルセデスの最新システムにはステレオカメラのみならず5つの25GHzレーダーセンサーと一つの77GHz中長距離レーダーセンサーで全方位を監視している。これが19.5万とは大バーゲンである。広報資料には「部分自動運転」と書かれているが、高速道路での渋滞に出くわしたならばCクラスはアクセルもブレーキもステアリングさえも任せることができる。ステアリングアシストは『ゴルフ 7』や『レヴォーグ』などにもあるが、メルセデスのステアリングアシストは高速から低速まで、もっとも進化していると感じる。
その他、パッケージオプションで気になる装備といえば、シートヒーターが必要ならば19万円のベーシックパッケージを選ばなければならない。このベーシックパッケージには縦列・並列駐車のステアリング操作を行ってくれるアクティブパーキングアシストなどもついてくる。
あと20万追加してプレミアムパッケージを選ぶと、ヘッドアップディスプレイやハンズフリーアクセス付の自動開閉トランクリッド。さらに32万追加の71万でレーザーエクスクルーシブパッケージにすると本革シートなどが装備される。
C180 アバンギャルドの車両本体価格は467万、COMANDコントローラー付の8.4インチワイドディスプレイのオーディオ&ビジュアル、カーナビシステムが標準装備であること、DSRC仕様のETC車載器も標準でつくことを考えると、十分にお買い得と言えるのではないだろうか。
一方で、運転席のメモリー付パワーシートと電動チルト&テレスコステアリングがC180に標準装備されているのは評価できるが、女性に人気の前席シートヒーターがパッケージオプションに入っているのは理解に苦しむ。もっと理解に苦しむのが最新のCOMANDシステムのインターネット接続がBluetoothのダイヤルアッププロファイルという、iPhoneやAndroidでは古すぎて対応しない仕様を使い続けていること。おそらくCarPlay対応の車載器が新COMANDシステムとなり仕様が変わるのであろうが、すべてが新しい新世代のCクラスにはいささか古臭いと言われても仕方がない。
■5つ星評価
デザイン:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
イノベーション:★★★★★
オススメ度:★★★★★