クラスの概念を打ち破ることをテーマとして開発された4代目の『デミオ』。「小さいクルマ=それなり」の作りで終わらせるのではなく、内外装の質感を高めたり、上級セグメントのクルマに乗っているかのような走りの質を狙った作り込みが行われた。
コンセプトモデル『跳(HAZUMI)』と比べると、取り回しを意識して全幅は35mm縮められ、ホイールベースも短くなり、居住性拡大のためにキャビンが大きくなったが、5ナンバーサイズに留めたわりには豊かな造形といえる。
何よりも、個人的に注目したいのは「このクラスで世界のベンチマークとなる存在を目指した」というインテリアの作り込みだ。
ダッシュボードの水平ラインやドアの内張り、センターコンソールにはステッチ入りのレザーが用いられた仕様もあり、シンプルなデザインを構成する上で質感にこだわった素材をあしらい、モダンな空間を演出することに成功している。
レザーシートはブラックのほかにホワイト色のものが用意されているのも贅沢だが、素材はアテンザのものを用いているという。コンパクトカーとは思えない、上質でハイセンスなインテリアに囲まれた空間は毎日触れていてシアワセな気分に浸れそうだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
藤島知子|モータージャーナリスト
幼い頃からのクルマ好きが高じて、2002年からワンメイクレースに挑戦。市販車からフォーミュラカーに至るまで、ジャンルを問わず、さまざまなレースに参加している。2007年にはマツダロードスターレースで女性初のクラス優勝を獲得した経験をもつ。現在はクルマの楽しさを多くの人に伝えようと、自動車専門誌、一般誌、TV、ウェブ媒体を通じて活動中。走り好きの目線と女性の目線の両方向から、カーライフ全般をサポートしている。COTYの選考基準は、クルマと共に過ごす日常において、気持ちを豊かにしてくれるクルマかどうかに焦点を当てる。