【キャデラック CTS 試乗】まさにキャデラック! な乗り心地と静粛性…松下宏

試乗記 輸入車
キャデラック CTS
キャデラック CTS 全 20 枚 拡大写真

キャデラックの主力モデル『CTS』がフルモデルチェンジを受け、ボディサイズも車格的もひとクラス上のクルマになって登場した。

新型CTSの全幅は1840mmだからさほど大きくないが、全長は5mに近い。フロントに伝統的なグリル&エンブレムを採用するのに加え、LEDやHIDを採用した機能的かつ斬新(ざんしん)な感覚のヘッドライトを採用することで、新時代のラグジュアリーセダンを表現した。サイズとデザインで堂々たるセダンとされている。

インテリアはドライバーを優先したコクピット感覚の運転席となり、グレードによってサペリウッドやカーボンなどの高級素材のパネルが使われている。職人の手作業で仕上げられた本革シートや本革巻きステアリングホイールなどが、品質感や高級感を演出する。

インパネにはキャデラック・ユーザー・エクスペリエンス(CUE)と呼ぶインターフェイスが採用され、8インチの高精細タッチスクリーンによる操作が可能。日本仕様のカーナビにも対応しているのは良い点だ。

FR駆動のCTSはエンジンを後方に配置することなどよって、前後均等の重量配分を実現している。試乗した「エレガンス」の重量バランスは前後とも850kgで完全に50:50に配分されていた。

搭載エンジンはV型6気筒ではなく、直列4気筒2リットルの直噴ターボ仕様だ。高級車ブランドであるキャデラックも効率の追求が求められ、今やダウンサイジングを進める時代である。

このエンジンは203kW/400N・mの動力性能を発生する。ターボの立ち上がりが早く、低速域からラグを感じさせずに十分なトルクを発生し、自然吸気エンジンのように滑らかにトルクが盛り上がっていく。アクセルワークに対するレスポンスの良さが気持ち良い。

6速ATは今どきの高級車としては段数が少ないようにも思えるが、実際には6速もあれば十分。変速ショックを感じさせるようなシーンはなく、パドルを使って積極的に操作すれば、きびきびした変速が得られる。

快適性の高さはさすがにCTSという印象。エレガンスには電子制御サスペンションのマグネティックライドも標準で装備され、乗り心地を更に向上させている。

価格も高くなって『Eクラス』や『5シリーズ』と競合する水準に達した。本国での価格に比べるとかなり高いが、最新の仕様を満載したCTSにはそれなり競争力があると思う。残念なのは左ハンドル車しか設定されていないこと。日本ではやはり右ハンドルで乗りたい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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