宇宙航空研究開発機構は、1月14日18時15分頃(日本時間)、国際宇宙ステーション(ISS)の米国側モジュール第2結合部(ハーモニー)の制御装置でアンモニアが船内に漏入したことが疑われるデータが確認されたと発表した。
アンモニアは、船外熱制御システムの冷媒として使用しているが、船内熱制御システムの冷媒液量増加と、船内圧力上昇しているとのデータが示された。
アンモニアは人体に有害なため、ISS搭乗宇宙飛行士は、緊急処置手順に従い、ロシアモジュール側へ退避、米国側モジュールとロシアモジュールの間のハッチを閉鎖した。
米国ヒューストンの地上管制では、アンモニア漏れが疑われた船外熱制御システムと、船内熱制御システムを停止した。これに伴って冷却機能を失った第2結合部(ハーモニー)内の電圧変換機を停止するため、下流の日本実験棟「きぼう」の電源系統2系統のうち、1系統の供給も停止した。「きぼう」の電力は、もう1系統の電源系統により供給されており、運用に影響はでない。
その後、原因究明が進められる中で、第2結合部(ハーモニー)の制御装置を再起動したところ、船内熱制御システムの冷媒液量が正常値を示し、船内圧力の上昇が見られなかったことから、実際にアンモニア漏れが生じた可能性はないと判断されたとしている。
1月15日午前3時頃(日本時間)、ISS搭乗宇宙飛行士は、ガスマスクを着用し、米国側モジュールへ再入室した。船内アンモニア濃度を計測したところ、アンモニアは検知されなかったため、ガスマスクを取り外し、復旧作業等を開始した。
現在、停止していたシステムを再立ち上げるための作業を進めており、JAXAでは復旧作業の進捗を踏まえて、「きぼう」内で実施している実験を再開する予定。