国立天文台、ミラ型変光星T Lepの周期光度関係の確立に成功…VERAプロジェクト

宇宙 科学
ミラ型変光星 T Lep の水メーザー放射分布。中央の光が星のイメージ。
ミラ型変光星 T Lep の水メーザー放射分布。中央の光が星のイメージ。 全 1 枚 拡大写真

国立天文台は、鹿児島大学の中川亜紀治氏を中心とした研究チームが、VERAを用いてミラ型変光星「T Lep」の水メーザー観測で、変光星の周期光度関係をより高精度に導くことに成功したと発表した。

VERAは、銀河系の3次元立体地図を作るプロジェクト。VLBIという電波干渉計の手法を使って、銀河系内の電波天体の距離と運動を高精度で計測する。国立天文台を中心に、多くの大学や研究所から、さまざまな分野の研究者が参加している。

ミラ型変光星などの長周期変光星は、太陽の1~8倍の質量を持つ。星の進化の末期に差し掛かっていて質量の放出が激しく、宇宙の化学組成を理解する上で重要な天体となっている。

またこの種の星には、明るさの変化と周期の間に比例関係(周期光度関係)があることが知られており、距離の指標としても有効であることが明らかになっている。

今回、研究チームでは2003年~2006年にかけて、T Lepに対し、VERAを用いて水メーザーのモニター観測を行った。この結果、天体の年周視差は3.06プラス・マイナス0.04mas、地球からの距離が327プラス・マイナス4pc、固有運動は秒速27.63kmと算出した。

また、これらの値を用いることにより、ミラ型変光星の周期光度関係が、MK=マイナス3.51 log P・プラス・1.37プラス・マイナス0.07という計算式で得られることが分かった。

今後、さらに多数のミラ型変光星で距離決定を行うことで、高精度な周期光度関係を確立する。

《レスポンス編集部》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. マツダ、電動セダン『EZ-6』世界初公開、24年発売へ SUVコンセプトも…北京モーターショー2024
  2. 【ホンダ ヴェゼル 改良新型】開発責任者に聞いた、改良に求められた「バリュー」と「世界観」とは
  3. トヨタが新型BEVの『bZ3C』と『bZ3X』を世界初公開…北京モーターショー2024
  4. Sズキが電動マッサージ器を「魔改造」、25mドラッグレースに挑戦!!
  5. 見逃せない! ホイールのブレーキダスト除去術 ~Weeklyメンテナンス~
  6. <新連載>[低予算サウンドアップ術]“超基本機能”を駆使して「低音増強」を図る!
  7. 郵便局の集配車が「赤く蘇る」、KeePerが8000台を施工
  8. ホンダ『ヴェゼル』マイナーチェンジで3グレードに集約、納期改善へ…「HuNT」「PLaY」新設定で個性強調
  9. 中国製部品の急成長で2025年以降日本製の車載半導体は使われなくなる…名古屋大学 山本真義 教授[インタビュー]
  10. 多胡運輸が破産、首都高のローリー火災事故で損害賠償32億円
ランキングをもっと見る