鉄道路線の災害運休区間、再び300km台に…1月末

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1月末の災害運休区間。日高本線の一部不通で運休距離は再び300km台に戻った。
1月末の災害運休区間。日高本線の一部不通で運休距離は再び300km台に戻った。 全 2 枚 拡大写真

災害による鉄道路線の運休距離は、1月末時点で4社10線11区間の計344.1kmだった。2014年12月末は久しぶりに300kmを割り込んだが、日高本線の一部不通で再び300km台に戻っている。福島第一原子力発電所事故の影響で運休が続く常磐線竜田~原ノ町間は、代行バスの運行が始まった。

■JR北海道 日高本線 鵡川~静内(北海道) 51.6km
1月に発生した低気圧の影響で厚賀~大狩部間の線路脇の土砂が高波で削り取られ、旅客営業列車を運行できない状態に。バスによる代行輸送が行われている。全区間の再開までには相当な時間がかかる模様。

■JR東日本 山田線 宮古~釜石(岩手県) 55.4km
2011年3月に発生した東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。代行輸送は行われていないが、岩手県北バスと岩手県交通の路線バスが運行されている。

当初はバス高速輸送システム(BRT)の導入による再開が考えられたが、鉄道による早期再開を求める沿線自治体が難色を示していた。JR東日本は2014年1月、三陸鉄道への運行移管案を提示。岩手県や沿線の自治体も同年12月の協議で三陸鉄道への移管に同意することを正式に決めた。再開時期は未定だが、2016年には一部の区間が三陸鉄道の路線として再開する見込みだ。

■JR東日本 大船渡線 気仙沼~盛(宮城・岩手県) 43.7km
2011年3月に発生した東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。2013年3月から鉄道復旧までの暫定策としてBRTを導入し、線路敷地の一部を活用したバス専用道を整備した。

現在のBRT運行区間は気仙沼~盛間(長部経由)と鹿折唐桑~上鹿折間、陸前矢作~陸前高田間。このうち竹駒駅付近0.5kmと小友駅付近~大船渡~盛間13.2kmに専用道が整備された。ただし大船渡駅付近は土地区画整理事業に伴い、現在は一般道経由に変更されている。今年3月14日には気仙沼~鹿折唐桑間の専用道も使用を開始する予定だ。

■JR東日本 気仙沼線 柳津~気仙沼(宮城県) 55.3km
2011年3月に発生した東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。2012年8月から鉄道復旧までの暫定策としてBRTを導入し、線路敷地の一部を活用したバス専用道を整備した。

BRTは気仙沼線の不通区間と同じ柳津~気仙沼間で運行されており、陸前戸倉~志津川間のうち陸前戸倉寄りの3.5km、志津川~清水浜間の中間部3.8km、歌津~陸前小泉間のうち陸前小泉寄りを除く5.1km、本吉~小金沢間のうち本吉寄りの2.0km、陸前階上~最知間とその前後の5.0km、不動の沢~気仙沼間3.3kmは専用道を走行する。ただし志津川~清水浜間は早朝や夜間の一部を除いて専用道を通らず、一般道区間に設置したベイサイドアリーナ駅を経由する。

■JR東日本 石巻線 浦宿~女川(宮城県) 2.5km
2011年3月に発生した東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。浦宿~女川間でバスによる代行輸送が行われている。今年3月21日に再開することが決まったが、終点の女川駅は内陸側に移設される。これにより営業距離も変更され、再開に先立つ3月14日付で現在より0.2km短い2.3kmになる。

■JR東日本 仙石線 高城町~陸前小野(宮城県) 11.7km
2011年3月に発生した東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。代行バスは不通区間の外側を含む松島海岸~矢本間で運行されており、列車と代行バスの乗換地点も松島海岸・矢本両駅となっている。

津波対策としてルートを内陸側に移設する工事が現在進められており、今年5月30日に再開することが決まった。ルートの変更を伴うため営業距離も変更され、再開に先立つ3月14日付で現在より1.2km短い10.5kmになる。

また、東北本線塩釜~松島間と仙石線松島海岸~高城町間の線路が接近する部分に新しい接続線(仙石線・東北本線接続線)を整備。高城町~陸前小野間の再開と同時に開業する。これに伴い、仙台~石巻間を東北本線・接続線・仙石線経由で結ぶ運行系統「仙石東北ライン」が運航を開始する。

■JR東日本 常磐線 竜田~原ノ町(福島県) 46.0km
2011年3月に発生した東日本大震災による福島第一原子力発電所事故の影響で運休中。途中の夜ノ森・大野・双葉各駅は帰還困難区域内で、被害調査も進んでいない。これに対して富岡・浪江・桃内・小高・磐城太田各駅は避難指示解除準備区域に移行している。

並行する国道6号は2014年9月15日、自動車で通過する場合に限定して通行規制が解除されている。これを受けてJR東日本は今年1月31日から代行バスの運行を開始した。

■JR東日本 常磐線 相馬~浜吉田(福島・宮城県) 22.6km
2011年3月に発生した東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。バスによる代行輸送は不通区間より広い相馬~亘理間で行われており、宮城方の列車とバスの乗換地点も浜吉田駅ではなく亘理駅となっている。ルートを内陸側に移設した上で、2017年春にも列車の運行を再開する予定。

■JR東日本 只見線 会津川口~只見(福島県) 27.6km
2011年7月の豪雨で橋桁が流失するなどの被害。バスによる代行輸送が行われている。この区間はもともと利用者が極度に少なく、JR東日本は今のところ復旧の可否を明らかにしていない。福島県と沿線自治体はJR東日本に対し、復旧工事費の約4分の1を負担する提案を行っている。

■大井川鐵道 井川線 接岨峡温泉~井川(静岡県) 10.0km
大雨の影響で土砂崩れが発生し、2014年9月2日から末端側の接岨峡温泉~井川間のみ運行を見合わせている。復旧には相当な時間がかかる模様。

■JR東海 名松線 家城~伊勢奥津(三重県) 17.7km
2009年10月の台風18号により橋台の流失や土砂の流入などが発生。バスによる代行輸送が行われている。JR東海は当初、鉄道を廃止する方針を打ち出していたが、関係自治体が鉄道施設周辺の治山事業などを実施することを条件に復旧の方針に転換。2013年5月から工事に着手した。2015年度内の再開が予定されている。

《草町義和》

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