【マツダ CX-3 プロトタイプ 公開】“逃げる”ことで手に入れた新たなデザイン…松田チーフデザイナー

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マツダ CX-3 プロトタイプ
マツダ CX-3 プロトタイプ 全 13 枚 拡大写真

マツダが今月下旬に発売を予定している『CX-3』。

同車はクロスオーバーなのか? 例えば日産『ジューク』のデザインは「スポーツクーペの上半身とSUVの下半身を融合」したクロスオーバー。乗用車(ハッチバックやクーペ、ワゴンなど)とSUV、それぞれの魅力をひとつにまとめるのがクロスオーバーの基本線だ。しかしCX-3の松田陽一チーフデザイナーは、そのデザインのキーワードを「ジャンルの枠を超えた存在感」と語る。

◆「どう逃げるか」が鍵

「車型の既成概念に捉われることなく、まったく新しい存在感の、時代を引っ張るようなデザインを実現したいと考えました」(松田氏)。

「二つをひとつに」という発想とは、ちょっと違うようだ。一般にクロスオーバーのデザインでは、乗用車感(親しみやすさや洗練性)とSUV感(機能性や逞しさ)のバランスが肝になるのだが…。

「乗用車感をどう入れるか、SUVらしさをどう入れるか…ではなく、どう逃げるかを狙いました。SUVっぽい味が出たらNG、ハッチバックの匂いがしたらNGということで開発を進めたんです」(松田氏)。

ジャンルを超えるためには、既存の車型に見えてはいけないわけだ。そこで例えば全高は、ハッチバックとSUVの中間的なところにしている。グリルの高さについても、低いとハッチバック感が出るし、高すぎるとSUVになる。どちらにも見えない高さを追求したのだという。

「バンパーの黒い部分も、(SUV的な)ゴツゴツした印象にならないモチーフは何か? すべてにわたって、既存の”らしさ”から逃げるように考えてます」(松田氏)。

◆「ただの便利なクルマ」にしないための趣向

ホイールアーチにも黒いモールを付けている。SUVの典型的なスタイル要素だ。SUVに見えないためには、もう少しモールの幅を細くしたいような気がするが…。

「そこをボディ共色にすることまで踏み込んで検討しました。しかし、ボディが分厚く見えてしまって、まったくスピード感がなくなるんです」(松田氏)。

CX-3は『デミオ』のパッケージングをベースに、全高を上げたクルマだ。しかも骨格の美しさを狙って、キャビンをコンパクトに見せるためにベルトラインを高く設定している。そのぶん(ベルトラインから下の)ロワーボディが、そもそも分厚い。

「実はとても健康的なパッケージングなので、ボディの分厚さが見えてしまうと、ただの便利なクルマになってしまう。そうではないスリークなクルマにするために、ホイールアーチに黒いモールを付けて、フェンダーのボディカラー部分をタイトに見せています」(松田氏)。

ホイールアーチモールは18インチの大径タイヤを、より大きく見せる効果も持つ。ただし、逞しくみえたらSUVの匂いが出る。モールの縦面をかすかな凹断面にして、稜線がシャープに見えるようにしたのはそのためだ。

「サイドシルの黒いガーニッシュもゴツゴツした感じにならないように、シンプルな断面変化だけで見せるカタチにしました。全体として、ボディカラーで見えるところでスリークなサイドビューを表現し、黒い部分はできるだけシンプルにしています」(松田氏)。

プロポーションからディテールまで、ジャンルの枠を超えるこだわりがある。これがCX-3のデザインの第一の見所と言えるだろう。

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは11年前から審査委員長を務めている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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