東京都、都心と臨海副都心を結ぶBRTのルート案など公表…中間報告

鉄道 行政
東京都都市整備局は、都心と臨海副都心を結ぶBRTのルート案などを含む「中間整理」を発表。ルート案では幹線ルートのほか、シャトルルートやフィーダー輸送ルートを設定している
東京都都市整備局は、都心と臨海副都心を結ぶBRTのルート案などを含む「中間整理」を発表。ルート案では幹線ルートのほか、シャトルルートやフィーダー輸送ルートを設定している 全 4 枚 拡大写真

東京都都市整備局は3月3日、2019年度内の運行開始を予定している都心と臨海副都心を結ぶバス高速輸送システム(BRT)について、運行ルートの案や車両についての考え方などを含む「基本計画に向けた中間整理」を発表した。

東京都は、都心に近く開発が進む一方、鉄道網へのアクセスが不便な臨海部と都心を結ぶ「中規模な交通機関」の整備に向け、2014年8月に「都心と臨海副都心とを結ぶ公共交通に関する基本方針」を発表。11月には「都心と臨海副都心とを結ぶBRT協議会」を設置し、基本計画の策定に向け検討を進めてきた。

今回発表された中間整理では、運行ルートについて「単純な都心・臨海副都心間の往復運行だけでは需要に的確に対応できない」として、往復ルートを基本に、それぞれの地域のピーク需要に合わせたシャトル運行やフィーダー輸送を加えた複数のルートを設定することで「LRTに比肩する輸送力を確保」するとしている。

ルート案では、虎ノ門のバスターミナルと東京駅の2地点を起点に、新橋駅を経て現在整備中の都道環状2号線を経由し、勝どき・国際展示場駅・東京テレポート駅を結ぶ路線を「幹線ルート」と設定。シャトルルート、フィーダー輸送ルートは都心と勝どき地区、晴海地区を結び、晴海地区に整備される予定のオリンピック・パラリンピック選手村の再開発後は、選手村へのルートも加わる想定となっている。

車両面では内閣府が進める「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の「自動走行システム分野」で開発が予定される自動制御技術を取り入れ、衝突防止や自動でのスムーズな加減速運転などの導入を目指す。また、開業当初から燃料電池バスと水素ステーションを導入し「水素社会の一つのショーケースとしてアピール」するとしている。

このほか、定時性の確保に向け、ICカードによる運賃の事前決済などで乗降時の滞留が起きない運賃収受方式や、全ての扉で同時に乗り降りできる広い扉の採用などを検討するという。

運行については、2019年度に「走行可能なルート・範囲」で運行を開始する予定。東京でオリンピック・パラリンピックが開催される2020年度は、大会組織委員会と調整を行い「可能な範囲」で運行し、2020年度以降は、選手村の後開発の状況に合わせ、同地区への運行を加えた本格運行とする。車両については全てが燃料電池バスとなるよう積極的に導入し、一部に連接燃料電池バスの導入を目指すという。

今後は4月に基本計画の策定と事業者の公募を開始する予定で、2016年度以降については、同年度~2018年度にかけてこれらの地区の既存路線バスの運行拡充や、燃料電池バスの導入を目指す。

勝どき・晴海・豊洲・臨海副都心などの地区は近年開発が急速に進展しているほか、晴海では2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック選手村が計画されており、開催後の住宅などの後利用も見込まれている。一方でこれらの地区はバスへの依存度が高く、鉄道網へのアクセスが不便な点や、大江戸線勝どき駅の混雑などが課題となっている。

都は2014年8月に「都心と臨海副都心とを結ぶ公共交通に関する基本方針」を発表し、BRTなどの導入を念頭に基本計画の策定を行う「事業協力者」を公募。7件あった応募の提案内容はいずれもBRTで、審査の結果、東京都交通局と京成バスの2者が協力者に選ばれた。協議会はこれまでに3回開かれている。

《小佐野カゲトシ@RailPlanet》

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