【ホンダ N BOXスラッシュ 試乗】オーディオシステム試聴、感動に値するゴキゲンなサウンド…青山尚暉

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ホンダ N-BOXスラッシュ
ホンダ N-BOXスラッシュ 全 22 枚 拡大写真

『N BOXスラッシュ』で1泊2日のドライブ旅行に出掛けたのを機に、Xグレードに標準、Gグレードにオプション設定される、開発陣の思い入れの強いスペシャルオーディオシステム「サウンドマッピングシステム」をじっくりと試聴した 。

このシステム最大の特徴は、詳密なサウンドマッピングに加え、前席部分にFOSTEX製17cmバックロードホーン型サブウーファー(足元)、17cmケブラーコーンスピーカー、アルミ ドームツイーター、後席部分に12cmケブラーコーンスピーカー、アルミドームツイーターを配置していること。8+1スピーカーをパイオニア製7チャンネル、360Wのアンプで駆動する、重低音から高音までクリアに再生する軽自動車用としてはかなり本格的なシステムであり、サブウーファーの音をリスナーの前から再生するのが肝である(一般的にはトランク内に設置)。

開発コンセプトは「クルマ1台ミュージックBOX!」。ロック、ブルース、 サーフミュージックといったアメリカンサウンドの再生を得意とし、前席が最高のリスニング空間となるように設計されている(後席だとCピラーのスピーカーが耳のすぐ近くになる)。

サウンドマッピング装着車は非装着車に対して防音材が追加され、より静かで音楽を楽しみやすい車内空間が確保される。スマートフォンの中の音楽を再生する場合、ワイヤレス給電規格Qiに対応したモデルであれば、ワイヤレスで充電可能。バッテリー残量を気にせず音楽を楽しめるというわけだ 。

さらに、より大音量でサウンドマッピングシステムを楽しみたいユーザー向けにアクセサリーとしてプロカーオーディオショップでのサウンドチューニングに匹敵する「ピュアサウンドブース」(3万8880円)と呼ばれる純正デッドニングパーツも用意されるから本格的だ。

ピュアサウンドブースとはドアパネルやテールゲートパネルなどに吸音・制振材を埋め込む内装施工を行い、室内の静粛性をさらに高めると同時に、スピーカー音によるドアパネルなどの微振動を低減するパーツである。

結果、低域から高域までバランスよく再生し、一つ一つの音の分離感、中低音域の厚み感、全体の臨場感を増すことができる。ちなみにピュアサウンドブースの主な構成は吸音シート12カ所、吸音ウレタン2カ所、制振シート2カ所(エンブレム付き)となる。

さて、Xグレードのハワイグライドスタイルの車内で主に高速道路走行中に試聴したアルバムは、日本の某超大物女性シンガー・ソングライターのコンサート会場の音を決めるために、彼女の超大物総合プロデューサーが愛用していたRICKY PETERSONの「SMILE BLUE」に収録される、ボビー・コールドウェルの70年代のヒット曲をカバーした「WHAT YOU WON'T DO FOR LOVE」( 邦題:風のシルエット)である。

これぞAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)と呼べるこの曲は音域が広く、ベースギターの低域にも特徴があり、また強くキレキレのアタック音も多く含まれているため、「コンサート会場のサウンドチューニングを行うのに最適」だと、ご本人から直接聞いている。

サウンドマッピングシステムから再生される「WHAT YOU WON'T DO FOR LOVE」は全体のバランス、アタック音の音切れの良さ、重低音の締まり感、音の分離の良さはもちろん、ごくフツーの純正カーオーディオでは聴き取りにくいツリーチャイムのキラキラした音、ステレオ感まで超リアルに再生。いわゆるドンシャリとは違う聴きやすさも特徴で、まるでフロントウインドー越しにミュージシャンがいるような、感動に値するゴキゲンなアメリカンサウンドを聴かせてくれたのだ。

ハワイグライドスタイルにあやかり、ハワイのホテルのロビーで乾いた貿易風とともに流れてくる、透明感あるハワイアンミュージックの再生も爽やかで心地良かった。

ところで、音楽を運転に支障がない音量で楽しむ場合、イコライザーがフラットだと低域がやや物足りなく感じられるかもしれない。そんなときは低域と高域をひと目盛り上げてやるだけでがぜん、迫力が増すからぜひ試していただきたい(サウンドマッピングシステム開発陣のアドバイスでもある)。

最後にとっておきの情報をひとつ。もし、より低域の迫力と高域の抜け感あるサウンドを望むなら、ファブリックではなく、PVC素材のシートを選択したい。低域が吸収されにくく、高音を反射する特性を持つからだ。PVC素材のシートとは、つまりX、XターボにメーカーOP設定されるインテリアカラ ーパッケージということだ(カリフォルニアダイナースタイル/ハワイグライドスタイル/テネシーセッションスタイルの3種)。

思うに、N BOXスラッシュの完成形はサウンドマッピングシステムにピュアサウンドブースを装着した仕様ではないだろうか。アメリカンサウンドの再生によりふさわしくなると同時に、軽自動車としてありえない車内の静粛性、それがもたらす上級感さえ実現してくれるのだから。

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門 誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連 の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手 がける。現在、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーと しての活動も広げている。10代後半から20代前半にかけてはプロミュージシャン(キーボード/ギター)として活動していた経歴もある。

《青山尚暉》

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