【トヨタ ヴェルファイア 試乗】新型に相応しいパワートレインはハイブリッド…青山尚暉

試乗記 国産車
トヨタ ヴェルファイア ハイブリッド
トヨタ ヴェルファイア ハイブリッド 全 15 枚 拡大写真

新型『ヴェルファイア』、『アルファード』にもっとも相応しいパワーユニットはどれか?

そう聞かれれば、エンジンが2.4リットルから2.5リットルとなり、システム出力190ps、モード燃費17.0km/リットルから、システム出力197ps、モード燃費19.4~18.4km/リットルになったハイブリッドモデルと答えたい(一般ユーザー向けとして)。

何より、ハイブリッドは新型のハイライトとなるエグゼクティブラウンジが選べ、なおかつ全グレードともにサスペンションが専用の乗り心地重視のセッティング(3.5リットルのエグゼクティブラウンジも)になる。

組み合わされるタイヤは唯一新型のために新開発された、開発の基準となる17インチ(Xのみ16インチ)。専用サスペンションと合わせ、乗り心地にもっとも気づかわれているグレードなのだ。

ガソリン車にないAC100V/1500Wコンセントは走行中、停車中を問わず使え、アウトドアではもちろん(1500W以下のコーヒーメーカーやミニ電子レンジ、ホットプレートなどの家電品が使える)、災害時にも威力を発揮。東日本大震災の際、同じ2モーターのハイブリッドシステムを搭載する何台もの『エスティマハイブリッド』が被災地に駆けつけ、その電力で暗闇に明かりをともし、ミニコンサートまで行なった話は有名だ。

そんな電力供給車としての機能も備えるハイブリッドの走りは、明らかに2.5リットルガソリンモデルより動力性能に余裕がある。モータートルクのアドオンによって出足から素晴らしく滑らかで軽やか感ある、もっとずっと排気量が大きく感じられるパワーフィールと加速力を示し(エンジンを回すとさすがにそれなりにノイズは高まるが)、快適感を重視したサスペンションによる乗り心地は大空間高級サルーンらしい体に優しいタッチが基本。

そのぶん、例えば低全高低重心の高級サルーンにくらべ後席乗員の上半身がゆすられやすいとも言えるが、大空間とのバーターと考えればどうということはない。

さすがに重量級モデルだけに、『プリウス』のように気づくとEVモードで走行している…とはいかないものの、アクセルオフではすぐにEVモード作動インジケーター点灯し、たとえば高速道路をクルージングしてバッテリーの充電量がたっぷりあれば、高速道路を降りたあとの平坦な一般道走行でEVモードに入りやすいことを確認済みだ。

しかもハイブリッドモデルはE-FOURと呼ばれる電気式4WDだから、リヤタイヤがねばるドシリとした安定感と、先代比重心マイナス10mmが効いた背の高さをより感じにくいフットワークが持ち味。ゆるいカーブや高速レーンチェンジなどでも不安のないフットワークを発揮してくれる。

500万円程度の予算なら、ヴェルファイア/アルファードともに17インチタイヤを履く「ハイブリッド V/ハイブリッド G」を薦めたくなる(純正ナビは56万1600円!)。動力性能、安心感、装備の充実度(100V/1500Wコンセント3個は6万4800円のOP)、燃費性能のすべてに満足できるはずだからだ。このグレードだと2列目席は2-3列目席スルーも可能なリラックスキャプテンシートに限定されるが、ファミリーユースなら上位のエグゼクティブシートまでは不要と考える。

実用上のガソリン車とハイブリッド車の違いは1列目席のサイドスルーの可否。ハイブリッドはセンターコンソール内にバッテリーが格納されているからだが、むしろ1列目席の高級感はさらに高まる。

滑らかで静かな走行感覚、後席部分をカバーする空調の快適度は犬を乗せるのにもふさわしい。犬の乗降はステップ高350mm、フロア高450mmの開口幅が広がったスライドドア、開口部地上高605mm(ステーションワゴン同等)、開口部に段差のないバックドア側からの両方から楽々可能。乗せ場所も広大な2列目席足元フロア、3列目席を格納し拡大した荷室フロア、3列目席など多彩だ。

新型は先代になかった荷室床下収納を完備しているのもポイントで、ドッググッズなどをしまっておくのにも都合がいい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
ドッグフレンドリー度:★★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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