「EV、PHVが一気に普及する変換点」はずばり2015~17年

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プリウスPHV
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 昨年は、トヨタが燃料電池車を発表するなど、次世代エコカーの新車種投入ニュースが相次いだ。引き続き2015~2017年は「次世代エコカーのティッピングポイント」と言われており、とくに2015年を「次世代エコカー元年」と見る向きもある。

 ここでいう「次世代エコカー」とは、電気自動車=EVと、プラグインハイブリッドカー=PHVの2タイプだ。いずれも外部から充電できる電池を搭載し、排ガスを出さない電気走行ができる。EVのエネルギー源は電池のみで、PHVは電池のほかにガソリンエンジンなど複数の動力源を搭載しているという違いがある。

 米国環境車サイト「Hybridcars.com」が市場調査会社のBaum & Associatesと調べたところによると、PHV・EVの累計世界販売台数は2014年12月末時点で、71万台を突破した。Hybridcars.comはこの台数が、2015年8~9月には100万台を越えると予想しており、2015年を「次世代エコカー元年」とする所以だ。

 日本の一般社団法人「次世代自動車振興センター」によると、日本国内でのPHV・EVの保有台数は、2011年度に2万6394台だったものが2013年度には8万4928台へと増えている。直近の数字では、経済産業省調べで2015年1月末までの累計販売台数が約11万台となっている。同じく経済産業省によると、国別のPHV・EVの保有台数で日本は世界2位、Hybridcars.com調べによると2014年12月末の累計販売台数は世界3位だ。

 こういったPHV・EV普及の背景として技術面の進化が挙げられる。電子部品メーカーのロームは2014年のCEATEC JAPANで、EV用リチウム電池の価格の低下や、電池のエネルギー密度の向上といった近年の動向を指摘。続いてこの先2~3年のうち、PHV・EV関連のさまざまな技術ファクターが同時並行的に変化すると予想する。そして関連技術や環境が整い、PHV・EVが一気に普及する変換点=ティッピングポイントを2015~17年に迎える、というのがロームの仮説だ。補助金面でも、経済産業省が3月12日、PHV・EVの高速道路利用者に調査協力費最大6万円を支給すると発表するなどの動きがある。

 EVやPHVの充電は、乗車しない夜間に行なう。初期のEVは走行可能距離が短く昼間も充電が必要になるため利用は限定的だったが、充電設備が整備され、都市部ではストレスなく利用できるようになった。急速充電器は約3000基(CHAdeMO 協議会調べ。2015年2月末時点設置ベース)、普通充電器は約1万1000基(電動車両用電力供給システム協会調べ。2014年12月末時点出荷ベース)が設置されている。

 PHVはハイブリッドカー=HVとEVの両方の動力システムで走る、環境負荷と走行距離の両方を担保したエコカーだ。トヨタ『プリウスPHV』が「充電プリウス」をキャッチコピーにしているように、通常はEVと同様に充電池の電気を使って走行する。充電量が減ってくるとエンジンで発電機を回す(この時は排ガスが発生する)。さらに充電量が減ると、エンジンの動力を走行に直接振り分けて、従来のHVと同様の走行モードになる。このようにHVに充電=プラグイン機能を追加したのでPHVと呼ばれる。現時点では最も現実的な次世代エコカーとして、2014年は国内外で市場投入が相次いだ。

 日本では2015年もPHV・EVの投入が続く予定だ。すでに2月にフォルクスワーゲンがEVの『e-up!』を発売し、今後もPHVではアウディ『A3スポーツバックe-tron』、『Q7』、BMW『7シリーズ』、フォルクスワーゲン『Twin-up!』、EVではフォルクスワーゲン『e-Golf』の投入が予想されている。すでに販売中のPHVのトヨタ『プリウスPHV』やEVの日産『リーフ』も、これら新型車の登場に伴って再注目されているようだ。

【トレンド】2015年は次世代エコカー元年ってご存知?……背景を分析

《高木啓@RBB TODAY》

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