【トヨタ MIRAI パッケージング検証】全幅の設定と、乗用定員4名の理由とは

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トヨタ MIRAI
トヨタ MIRAI 全 8 枚 拡大写真

トヨタの燃料電池自動車『MIRAI(ミライ)』のプラットフォームは、フロント回りが『カムリ』、それ以降は新設計されたものだ。

新設計の理由はFCスタックと呼ばれる燃料電池を前席下に、2本の水素タンクを後席下に置く、ガソリン車はもちろん、HVやPHVとも違う独自のレイアウトを採用するからにほかならない。

MIRAIのボディサイズは全長4890mm、全幅1815mm、全高1535mm。全長は『クラウンハイブリッド』同等。全幅はクラウンとカムリの中間。ところが全高のみクラウンより75mmも高いのが特徴だ。背が高くなった理由は、FCスタックと水素タンクによってフロアがかさ上げされたことに連動し、セダンに求められる室内高(MIRAI1185mm、クラウン1190mm、カムリ1210mm)、ヘッドクリアランスを確保するためである。

もっとも、サイドシル地上高は前席370mm、後席380mmと常識的だから、乗降に関して敷居が高い、ということはない。重量物が床下にあるため、重心高は一般的なサルーンとくらべて10mm以上低まっているという。

全幅1815mmは、究極のエコカーとしてクラウンハイブリッド(全幅1800mm)や『プリウス』(全幅1745mm)から乗り換える人にとって中途半端な数値にも思える。1800mm以下でも良かったのではないか、と。しかし、MIRAIを前後から眺めると、車幅に対して背の高さが勝っている。そう、1815mmのちょっぴりワイドな車幅は”セダンに見える”デザインから決められている。それより車幅を狭くすると、背の高さが強調されすぎて縦横比のバランスがとれず、セダンのプロポーションにならなくなるわけだ。

人の座らせ方は前席ヒップポイントを高めの『プリウスα』(地上605mm/セダンの平均値550mm前後)並みとし、後席は前席のニュートラルポジションに対して10mm弱低まった逆シアターレイアウトとなる。

ただし、安全性や視界条件を満たす前席のニュートラルポジションは(下端から+15mmの高さ)、実際に座るとけっこう高めで、その状態で後席背後に座れば、前席背もたれ&ヘッドレストが壁のように立ちはだかる感じになる。しかしながら身長172cmのボクが前席で適切なドライビングポジションを取れば、電動のハイトアジャスターで最下端位置が視界、メーターの視認性を含めちょうどよく、それなら後席のほうが高い位置にあるシアターレイアウトになり、後席に座っても視界的な窮屈感はなくなる。

トランクルームに関しては、トランクスルーを持たず、DCコンセントや補助バッテリーを配置しているためけっこう凸凹してはいるものの、9.5インチのゴルフバック3セットを積める容量が確保されているから不足はないだろう。

ところでMIRAIのパッケージング、特に室内空間のレイアウトでもっとも苦労したと思えるのが後席部分だ。そしてなぜ、後席中央にコンソールを設け、どうやっても中央に人が座れない2人掛けとしたのだろうか(乗用定員4名)。その答えは、「未来のクルマらしく居住性の豪華さを求めた」のではない。MIRAIはくり返すが前席下にFCスタック、後席下に水素タンクがある。そのため前席下にすき間がなく、つま先が入らない。また後席下部にも壁があって足が引けない(こちらはよくあることだ)。

ボクが後席に着座すれば頭上に90mm、ひざ回りに230mm(クラウン同125/190mm)ものゆとりがあるのは立派だが、靴のサイズ25.5cmでも足元は狭く感じられ、足の置き場(着座姿勢)が制限されてしまうのだ。そのため3人掛けをあきらめたというわけである。

とはいえ、それはFCスタックと水素タンクを持つクルマとして現時点では避けられないパッケージングの制約、結果であり、MIRAIの商品力を著しく損ねるものではない…いや、よくぞまとめあげた、と考えたい。もちろん、前席中心の乗車、前席に両親、後席に子供…という乗車形態ならまったく問題はない。

《青山尚暉》

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