【ホンダ ステップワゴン 試乗】静かでなめらか、そして使いやすいパッケージング…諸星陽一

試乗記 国産車
ホンダ ステップワゴン
ホンダ ステップワゴン 全 20 枚 拡大写真

軽自動車と並んで日本の自動車市場では重要な位置づけとなっているのが5ナンバーサイズのミニバン。各社がそれぞれ特徴ある車種を展開しているが、ホンダは新型『ステップワゴン』にダウンサイジングターボエンジンとアイディア満載のバックドアを採用してアピールしてきた。

まずダウンサイジングターボエンジン。排気量1.5リットルのターボ付きエンジンでボアピッチこそFIT用と同じだが、そのほかはすべて新設計。最高出力は150馬力、最大トルクは203Nmで、わずか1600回転から5000回転までフラットに維持する。CVTとの組み合わせでじつにイージーでトルクフルな走りを実現する。勾配のきつい登り坂でもエンジンが苦しいそぶりを見せることはない。エンジン回転が急に高くなることなく、力感あふれるフィーリングを示す。当然アイドリングストップ機構も備える。普通にスターターモーターを使っての再始動だが、このときのノイズも小さく抑えられていて、さほど気になるものではない。ターボラグはなく、スムーズを絵に描いたような加速感を味わうことができる。

シャシー関係もフリクションを抑えたスムーズなものに仕上がっている。前後ともにサスペションの動きはよく、タイヤが路面を確実につかんでいる感覚を味わえる。とくにショックアブソーバーを垂直に配置したというリヤサスペションの動きはスムーズで、ダンピングもしっかりと効いている。少々の段差乗り越えなどでは突き上げ感を感じることもない。ボディの剛性を高めたことや遮音材の最適化などにより、車内の静粛性はかなり高く、サードシートとドライバーズシートの会話も容易で疎外感はない。

新型ステップワゴンは先代同様にサードシートを反転床下収納し、フラットにラゲッジを拡大できるが、先代とは異なり左右を独立してできることが特徴。そして新型ステップワゴン最大の特徴であるわくわくゲートが組み合わされる。わくわくゲートは通常のリヤゲートのようにルーフ側を支点として上側に開放するだけでなく、普通のヒンジドアのように横開きもする構造。

サードシート左側を床下反転収納した状態にしておけば、わくわくゲートを開けてサードシート右側へのエントリーが可能。セカンドシートが標準タイプのキャプテンシート(ベンチシートは全車オプション)ならば、そのままセカンドシートへも移動できる。荷物が少ないときはリヤゲートを全開しなくても、わくわくゲートを使って荷物の出し入れも可能だ。

新型ステップワゴンは、室内高を30mmアップ。エンジンルームを40mm縮めて、その分をフロント~サードシート間に振り分けたうえで、サイドガラスを垂直に近づけるなど徹底した室内スペースの拡大を図っている。2列目キャプテンシート車の場合、ドリンクホルダーの数はじつに16個と乗員1人に対して2つずつを用意。コンビニフックも10個と多数を用意する。

いずれ、しっかりと荷物を積んで出かけるなどして、検証してみたいと思うが、実用性に関してはかなり高い性能を示してくれることは間違いなさそうだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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