ホンダ S660 はこうして作られる…投資を抑えてスポーツカー品質を実現する工夫とは

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ホンダ S660 生産ライン
ホンダ S660 生産ライン 全 24 枚 拡大写真

ホンダは5月26日、軽スポーツカー『S660』を生産する八千代工業四日市製作所を報道陣に公開した。同製作所では月販目標800台の少量生産のモデルを投資を抑えつつスポーツカーとしての品質を造り込むための工夫が随所に施されている。

今回報道陣に公開されたのは溶接および組み立てラインの一部と完成検査ライン。このうち車台にインナーフレームやアウターパネルを溶接する工程で実に4人がかりで人手を使った作業が行われている。

通常、こうした工程は作業員の1人がボタン操作するだけで、車台へのパネルセットから、位置決め、スポット溶接まですべて自動化されているが、S660の場合はスポット溶接以外の部分が手動になっている。

具体的には、オープンボディという特徴を生かして、車台フロアにまず治具を手動で入れて、さらに左右からインナーフレームやサイドパネルを、これも手動で装着して位置決めした上で、スポット溶接の工程に送り込むというもの。

しかもインナーフレームを溶接し終わった後、車台を戻してサイドパネルを装着してから溶接、さらにその後再び車台を戻して、治具を取り出すという3つの工程、約10分30秒の作業を経て初めて完了する。この人手による工数をあえて増やすことで、投資削減、治具の簡素化を図っている。

一方、軽商用車『アクティバン/トラック』などと混流になっている組み立てラインではスポーツカーを造り込むための、S660専用の取り組みが足回り工程で行われている。その一つがエンジンの組み付け。この工程では車体が吊り下げられた状態で流れており、アクティ系車種はエンジンを車体の下から持ち上げた後、締め付け作業はすべて下側から行っている。

一方、『Nシリーズ』のエンジンを流用しているS660の場合はエンジンの締め付け作業は車体下と上からも行っている。このためラインの脇に専用の架台をしつらえて、上から締め付け作業を行うことで、これによりアクティと同じラインで流せるようにしている。

エンジンを締め付けた直後に行われる足回り部品の装着では、タイヤが装着されて地面に着地している状態になる高さに車軸の位置を調整したうえでサスペンションなどの締め付けを行っている。これにより足回りの各部にストレスをかけずに装着できるようにしている。

八千代工業の本告次男専務によると「5月25日時点で2456台の(S660の)生産を完了した。現在、四日市製作所では1日あたり150台生産しており、このうち3分の1がS660で、1日48台S660を生産している」という。

《小松哲也》

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