「カーデザインが教えてくれたこと」…カーデザイナーがその仕事内容と生きざまを告白

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栗原氏(左)とやまざき氏
栗原氏(左)とやまざき氏 全 10 枚 拡大写真

東京・渋谷の代官山蔦屋書店で6月8日、カーデザイナーの仕事ぶりや、イタリアのカロッツェリアの様子などを紹介するトークイベントが開催された。これは現役カーデザイナーのインタビューを集めた書籍『ignition(イグニッション)』の発刊記念としておこなわれたもの。

トークのテーマは「カーデザインが教えてくれたこと」。スピーカーとして登場したのはNORI, inc.の栗原典善氏と、pdc_designworksのやまざきたかゆき氏。栗原氏はイタルデザインや欧州フォードで活躍した後に帰国し、デザイン会社を設立。またやまざき氏は玩具やアパレルのデザイン、さらにはイベント運営など幅広く事業を展開している。

栗原氏は、イタルデザインを訪問してG.ジウジアーロ氏の面接を受けたらその場で「明日から仕事してくれ」と言われ、大慌てで対応したエピソードをはじめ、当時の図面やスケッチをこっそりと開陳しながら、当時の仕事の進め方を紹介した。

「デザイン作業はスケッチではなく、サイドビューの図面から始まる。だから図面が描けないとデザイナーは仕事にならなかった」というエピソードからは、イタルデザインのクライアントがあらゆる国、あらゆる業種にわたっていた理由を想像することができる。

また日本に帰国してデザイン会社を立ち上げた後には、とある欧州メーカーのデザインディレクターから「ブランドアイデンティティを作ってくれ」と頼まれたことを紹介。量産モデルの初期提案だけでなく、アドバンスデザインを長年にわたって手がけていたことを明かした。

「デザイナーとしてデビューしたころは、アナログからデジタルへの過渡期だった」というやまざき氏は、現在のデザイン学生についてこう話す。「スケッチを見るとリミックス感覚。アナログ時代のデザイナーが作曲家だとしたら、それをアレンジして新しい形にするのが現代なのかなあと感じます」とのこと。

自身の仕事では「最初にコンセプトを練り込むタイプ。手を動かす前に、まず商品が顧客の手に渡ったときのシチュエーションを考え、作りたいデザインを決める。その後、実現のために必要な要素を盛り込んでいくんです」という。

両氏の話から理解できるのは、ひとくちにカーデザインと言っても「誰のために、どんな目的でデザインするのか」というケースは多岐に渡るということ。そしてデザイナー個人がそれを見極め、信念を持ってデザインしなければいけないということだ。

ちなみに「ignition」には、合計19人の現役カーデザイナーやデザインディレクターが、それぞれのスケッチや作品とともに登場。カーデザイナー、工業デザイナーになるには、なにより熱意を持ち失敗を恐れずに挑戦を続けることが大切だということが伝わってくる。

《古庄 速人》

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