インターナビ 育ての親が作る、日本初の移動体向けデジタルラジオ放送局 アマネクが「i-dio」で放送開始

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アマネク・テレマティクスデザインの代表取締役CEOである今井武氏
アマネク・テレマティクスデザインの代表取締役CEOである今井武氏 全 6 枚 拡大写真

アマネク・テレマティクスデザイン(以下、アマネク)は、BIC、VIP、東京マルチメディア放送の3社が開始するV-Low マルチメディア放送「i-dio」にコンテンツプロバイダーとして参画する。

アマネクは2セグメントを確保し、来春より日本初となるモビリティ向けデジタルラジオ放送局「Amanekチャンネル」で放送を開始する。

◆ドライブをもっと安全で快適に…東日本大震災での思い

アマネクの代表取締役CEOである今井武氏は、ホンダのカーテレマティクス「インターナビ」を立ち上げ、育てた人物である。しかし、東日本大震災の際に、多くのドライバーに大津波警報が伝わらなかったことで被害が拡大したことに大きなショックを受け、ドライブをもっと安全で快適なものにするために、ドライバーに常に寄り添い便利で役立つ面白いサービスを創りたいと考えるようになったという。

放送と通信が融合したV-Lowマルチメディア放送は、まさに今井氏の思いを実現できるものとしてアマネクを設立、「i-dio」において日本初のモビリティ向けデジタルラジオ放送局「Amanekチャンネル」を創設した。それはモビリティだけでなく、サイネージなどもカバーする。放送はカーナビで受信することになるが、基本的にワンセグを受信できるカーナビであればV-Low放送も受信できるという。

ハードウェアはすでに対応しているので、アマネクでは現在、V-Low放送を受信するためのソフトウェアを開発しているという。正確には、高速通信のやり取りをする上位レイヤーの部分に入る共通モジュールという形となる。これにより、カーナビメーカーは自社製品にV-Low放送を視聴可能にするインタフェース部分のみを開発すればよい。「時代はアナログからデジタルに移行しているので、無料で楽しめるV-Low放送の受信機能を自社カーナビに搭載するメリットは非常に大きい」と今井氏は言う。

◆3年でリスナー数1000万台…エリアに合わせた情報提供

V-Low放送に対応した新しいカーナビは、2020年には毎年300万台販売される予定。これが「Amanekチャンネル」の新しいリスナーになる。つまりその3年後には1000万台近いリスナーが存在が見込める。番組は基本的にアマネクのスタジオで配信されるが、徹底的にラジオらしさにこだわるという。ブロックの俯瞰的な情報は、スタジオのナビゲータが肉声で伝え、エリアごとの情報はTTSを生成し自動音声で伝える。緊急情報や事故情報などを割り込ませることも可能で、今井氏はそのデモも行った。

「i-dio」は全国を7つのブロックに分けて放送されるが、さらに細かくエリア分けした番組やCMなどを放送することも可能だ。放送波には位置情報を載せられるので、カーナビが自分のいるエリアを判断し、そのエリアに関係する情報を選択して再生することができる。これにより、移動中の車の周辺にあるショップやイベント情報を配信したり、クーポン情報なども配信できる。

ドライバーは画面をタッチすることで詳細情報を確認したり、スマートフォンにクーポンをダウンロードできる。また、ドライバー側から情報を発信することも可能で、これにより道路の通行状況などをリアルタイムに共有し、把握することが可能になる。さらには、デジタルサイネージのある場所を通過するときには、デジタルサイネージを連動させることも可能だという。

気象情報は常に15分先の情報を把握できるほか、旬のドライブスポットや、流星や夕日が綺麗に見えるエリアの情報なども音声とデータで紹介していく。「渋滞は非常に嫌なものですが、たとえば時速20kmのエリアに対して、徹底的に渋滞が面白くなるような番組を開発していきたい」と今井氏は言う。さらに、業務車両向けのチャンネルも用意し、天気情報や交通情報、道路の通行状況、土砂災害リスク情報、事業主からの情報などを配信する考えも紹介した。

◆サードパーティにも参入、グローバル展開視野に

今井氏は、AmanekAPIをサードパーティに公開する考えも示した。APIを活用することで、サードパーティがAmanek番組生成システムを使用して自社のサービスの番組化や独自サービスが創れる。特にV-Lowマルチメディア放送は高音質が特徴なので、HDラジオのような番組を増やしていくことも可能だ。HDラジオは特に米国で普及しており、もはやHDラジオしか聴かないというドライバーも多い。アメリカでビジネス展開している自動車メーカーなら、それを肌で感じているはずと今井氏は可能性を述べた。

また、「次世代のモビリティ社会のために、開通したばかりの道路データや、自動運転時代に必要なダイナミックマップの配信する最適なメディアとして使っていただきたい」と今井氏は言う。そのためにグローバル展開も図っていくとした。さらに、インターナビを育てた経験から、もはや自動車メーカーそれぞれの配信はアマネクに任せてもらっていいのではないかと今井氏は熱を込めた。

《吉澤 亨史》

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