寝台特急『カシオペア』、16年余りの一般運行に幕…上野~札幌間在来旅客列車が消える

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札幌駅4番ホームに入線する上り最終『カシオペア』の回送列車。
札幌駅4番ホームに入線する上り最終『カシオペア』の回送列車。 全 5 枚 拡大写真

1999年7月の運行開始以来、上野と札幌を結んでいた臨時寝台特急『カシオペア』の上り最終列車が、3月20日に札幌を後にした。同列車の翌21日上野着をもって、1988年3月以来の上野~札幌間在来旅客列車の歴史にピリオドが打たれる。

『カシオペア』は、JR東日本が『北斗星』に代わる本格的な豪華寝台列車として登場させたもの。同列車の運行に際してはE26系客車を新製、電源装置を搭載したラウンジカー(カハフE26形)以外はダブルデッカー構造という斬新な車両で、寝台は目玉となる展望タイプの「カシオペアスイート」を皮切りに、すべてが2人用のA個室という、当時の常識を覆す豪華仕様だった。E26系は1編成のみだったため、『カシオペア』の運行は上下隔日となり、車両検査時は運休となった。また、ラウンジカーが検査に入る際は、予備電源車のカヤ27形が連結されることがあった。

『カシオペア』の登場により、『北斗星』は定期3往復から2往復に後退。2015年3月ダイヤ改正では、北海道新幹線の訓練が本格化することに伴い『北斗星』の定期運行を終了。以後は、『カシオペア』と臨時『北斗星』が同じダイヤを使って交互に運行されていたものの、臨時『北斗星』が2015年8月に運行を終了してからは、『カシオペア』が上野と札幌を結ぶ唯一の在来旅客列車として孤軍奮闘するようになった。

そんな『カシオペア』も、2015年9月には北海道新幹線開業を機に一般運行が廃止されることがアナウンスされ、車両の去就が注目されたが、JR東日本は、JR北海道やJR東日本エリアを周遊するツアー列車として活用する方針を示している。

3月19日に上野を発車した下り最終では、上野発車からまもなくに起こった不審物騒ぎの影響で最大2時間程度遅れるトラブルに見舞われたものの、青森などでの運転停車時間を詰めることで遅れを回復。札幌発の上り最終は『北斗星』の最終運行となった昨年8月を彷彿させるほど多くのファンに見守られ、札幌を後にした。牽引機は函館までがDD51形1143号機と1148号機の重連。函館~青森間はED79形20号機だった。

本州と北海道を結ぶ在来旅客列車は、ほかに新青森と函館を結ぶ特急『スーパー白鳥』『白鳥』、青森と札幌を結ぶ急行『はまなす』も残っているが、前者は3月21日限りで運行を終了。後者は3月21日青森発下りが最後の運行となる。これにより、上野~札幌間はもちろん、本州と北海道を結ぶ在来旅客列車が全廃。3月22~25日に津軽海峡線で行われる地上設備最終切替を経て、3月26日に北海道新幹線新青森~新函館北斗間が開業する運びとなっている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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