「AUTOBACS RACING TEAM AGURI」(ARTA)を率いる鈴木亜久里氏は、GT300を戦う「ARTA BMW M6 GT3」が使うオイル「カストロール」に最大級の信頼を抱く。その理由の源は、自身がカートを戦っていた1970年代にあった。あわせて、亜久里氏の一般ユーザー視点でのオイル観についても訊いた。
◆カート時代から続く約40年の信頼
----:亜久里さんとカストロールの最初の出会いはいつ頃になるのでしょうか。
鈴木亜久里氏(以下、敬称略):カートをやっていた頃だね。当時(1970年代)は、みんながカストロールの「ひまし油」(植物油の一種)のオイルを使っていた。100%の選手がそうだったと思うよ。ヨーロッパでもそう。他のオイルではエンジンが焼きついてしまうんだ。僕はスクーターにも入れたりしていた。
----:そうすると、もう40年級の付き合いになるわけですね、カストロールとは。
亜久里:とにかくカート時代のイメージは強烈だったね、みんながカストロールを使っていたわけだから。もちろん、その後に関しても1990年代のWRC(世界ラリー選手権)や全日本GT選手権(現SUPER GT)でのカストロールカラーのマシンの印象は強い。今、あのカラーはホンダのWTCC(世界ツーリングカー選手権)だよね。とにかく、レースをやっている人間にとってカストロールの存在感は強いよ。
◆スーパーカーの高負荷に耐え得る能力
----:ところで亜久里さん、一般自動車の方でのカストロールとのお付き合いはいかがでしょうか。
亜久里:今、自分が普段使っているクルマにもGT300のM6と同じ「EDGE」が入っている。
----:「EDGE」というブランドは、いわゆるスーパーカーと呼ばれる車種にも使われているのですが、亜久里さんもスーパーカーを所有されたことがあったと思います。
亜久里:18歳で免許を取ってから(現在55歳)、クルマを45台くらい乗り継いでいるけど、F1現役時代にスーパーカーに乗ったことがあったね。ただ、あれはひどいクルマで(苦笑)。それこそオイル交換する前に人に譲っちゃったくらいなんだけど、あれにはビックリした。
----:そんなに“凄かった”んですか?
亜久里:なんだこりゃあ、っていう感じで、あんなに印象に残ったクルマはなかったね。それはさておき、やっぱりスーパーカーの場合には、高回転高出力でエンジンにも大きな負荷がかかる環境下でそれに耐えられるエンジンオイルが求められる。そこで「EDGE」が使われているのは、まさしく「EDGE」がそういうオイルだから、ということだよね。
◆燃費やクルマの調子を考え、適切なオイル交換を
----:レースでは常にオイルはすべて新品、というのが当たり前の状態ですが、一般ユーザーはなかなかオイル交換にマメにはなれない部分もあります。
亜久里:今のクルマやオイルは性能がいいから、そんなにオイル交換しなくてもエンジンが壊れるなんてこともない。でも、どんなに性能のいいオイルでも長く使い過ぎれば燃費やクルマの調子には影響してくるだろうし、そこは乗っている人の気持ち(意識)なんじゃないかな。
----:やはり、適切なタイミングでのオイル交換は必要であり、重要なんですね。
亜久里:オートバックスとかでアドバイスを受けて、必要ならばオイル交換した方がいい。どういうオイルがいいのかも、そういうところで訊けばいいと思うしね。
----:毎戦、新しい「Castrol EDGE」を注入されてレースに臨む「ARTA BMW M6 GT3」の戦いに多くのファンが期待しています。
亜久里:今年のマシンは回転数的にはそんなに高いところを使うわけではないから、オイルには少しラクな環境になっているかもしれない。気をつけないといけないのはターボの熱による劣化かな。でも常に新品でいくから心配はないし、とにかく最初に言ったようにオイルについてはカストロールを使っていれば間違いがない。ファッションの世界のエルメスやアルマーニと同じで、長く信頼されるブランドというのは、いいものしか残っていかないなかで残ってきているものなんだからね。
インタビュー直後に行なわれた開幕戦岡山(4月9~10日)では、#55 ARTA BMW M6 GT3は決勝11位(27台出走)。ドライバーズポイント獲得には一歩届かなかったが、いろいろな意味で時間が足りないなか、本来のパフォーマンスの片鱗は見せたといえよう。亜久里氏が絶対の信頼を置くパートナー「カストロール」とともに、第2戦富士(5月3~4日)以降の躍進に期待がかかる。