【VW ゴルフGTE 試乗】“退屈なハイブリッド”ではないことを主張するGTEモード…松下宏

試乗記 輸入車
VW ゴルフGTE
VW ゴルフGTE 全 10 枚 拡大写真

現行『ゴルフ』は、共通化した基本プラットホームをベースに車種ごとの個性を表現するMQBと呼ぶ開発システムを採用している。

これによって、ひとつの車種でガソリン車だけでなく、ハイブリッド車や電気自動車などを容易に作れるようになった。その成果として作られたのがプラグインハイブリッドの『ゴルフGTE』だ。

ゴルフGTEは、エンジンルーム内にモーターや制御系を詰め込み、ハイブリッド用のリチウムイオン電池を後席のシート下に搭載することで、居住スペースやラゲッジスペースに影響を与えない合理的な空間設計を実現した。

GTEはGTIとの関連づけを意識したネーミングだ。GTIはグリルに赤いラインが入って赤バッヂが装着されるのに対し、GTEは青いラインと青いエンブレムが装着される。室内も青を基調にしたタータンチェックのシートが採用されていて、GTIと好対照を成している。ブレーキキャリパーも青である。

搭載エンジンは1.4リットルのTSI仕様で、これに6速DSGに内蔵する形で電気モーターが組み合わされる。システムとして発生する動力性能は150kW/350Nmである。ゴルフのボディに対して十分にパワフルかつトルクフルな実力だ。

ハイブリッド駆動用に搭載されるリチウムイオン電池は8.7kWhの容量があり、電気モーターだけで最大53.1kmの走行を可能とする。最高では130km/hまでをモーター走行でカバーする。

モーターを優先するEモード、エンジンとモーターを効率良く使うHVモードが設定されていて、通常はEモードを優先させながらHVモードも使って走る。電気自動車やハイブリッド車と同様に静かでスムーズな走りを実現する。

高速クルージング中にアクセルを緩めると、電池の残量などに応じてモーターでの走りに変わる。高速でもモーター走行ができるハイブリッド車なのだ。またHVモードの中には積極的に充電するチャージモードの設定もあり、電池の残量を確保して走ることできる。

ゴルフGTEの特徴がGTEモードだ。センターコンソールのGTEボタンを押すと、走りのフィールは一変する。アクセルを踏み込むと瞬時に電気モーターのトルクが立ち上がり、それをすぐにエンジンが追い上げてくる。これによる加速は実に豪快なものだ。正に後ろから背中を押されるよう加速である。

エンジンとモーターを足し算して目いっぱいの動力性能を使って走り、更に6速DSGとの組み合わせもあって、ダイナミックかつスポーティな走りを実現している。この加速はガソリン車のGTIを大きく上回るもので、停車状態から100km/hに達するまでに要する加速時間が7.6秒という俊足だ。

GTEモードで走り続けたら燃費が悪くなってしまうから、いつもこの走りにはできないが、ゴルフGTEが退屈で走りの鈍いハイブリッド車ではないことを、このGTEモードが強く主張している。

ゴルフGTEの本体価格は2015年9月の発売時には499万円だったが、2016年に補助金が38万円から9万5000円に引き下げられたのに対応して466万円に引き下げられた。決して安くはないが、環境性能と走りを両立させたクルマに見合う価格といえるだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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