【スーパーフォーミュラ 第5戦】来季F1昇格のバンドーン、岡山のレース1で初優勝

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「来年はF1」のバンドーンは24歳の大器(このポーズは、今回の1位を意味するもの)。
「来年はF1」のバンドーンは24歳の大器(このポーズは、今回の1位を意味するもの)。 全 16 枚 拡大写真

10日、スーパーフォーミュラ(SF)第5戦が岡山国際サーキットで初日を迎え、特別フォーマットの2レース制大会における「レース1」で、来季はF1マクラーレン・ホンダのレギュラーに昇格するストフェル・バンドーンがSF初優勝を飾った。

本来ならば九州のオートポリスで開催されるはずだったSF第5戦は、4月の地震の影響により岡山国際サーキットで代替開催されることに。5月の第2戦に続く今季2度目の岡山戦、今回は土曜と日曜にそれぞれ個別の予選&決勝レースを実施する特別フォーマットの2レース制大会だ。

初日の土曜は、午前中に1時間のフリー走行と20分間の“1セッション予選”が実施され、午後に30周・約110kmの「レース1」決勝という流れになる。コンディションは天候晴れ、路面ドライ。温度条件は気温32度、路温42度(決勝スタート前)。

1周が短い岡山だけに、19台でポールポジションを争う予選はコース混雑との戦いともいえたが、セッション前半にコースオフ、ストップして赤旗中断の原因となってしまった#8 小林可夢偉(SUNOCO TEAM LEMANS/トヨタ)以外の18台が1秒差におさまる僅差接戦を制したのは#37 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)。今季初ポール獲得となった。

予選2位には#2 国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)が続き、来季F1レギュラー昇格が決まったばかりの#41 S.バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)が3位。#41 バンドーンの横に僚友#40 野尻智紀が並び、DANDELION勢が2列目を占拠した。

迎えた決勝レースは、大波乱の幕開けとなる。フォーメーションラップを終えたところでポールの#37 一貴が停止位置を誤ってしまったのだ。しばしの混乱を挟んだのち、レースは2周減算の28周に短縮され、#37 一貴が最後尾にまわされてフォーメーションやり直しというかたちに。

もともと110km想定と、スタート勝負と言って過言ではない短距離戦のレース1。予期せぬかたちで、最前列は2番グリッドの#2 国本と3番グリッドの#41 バンドーンによる対決構図へと変化した。

そのスタート、「チャンスだったのですが、クラッチのバイトポイントをうまく探し出すことができず、動き出しが遅れてしまいました」と悔しそうに振り返る#2 国本に対し、見事に決めて見せたのが#41 バンドーンだった。そしてそのまま先頭を守り続け、スタート・トゥ・フィニッシュでSF初優勝。

#41 バンドーンのコメント
「最高の気分だ。来季マクラーレン・ホンダでF1のレギュラードライバーになることが決まってから最初のSFのレースで優勝できたんだからね。今日は予選でも3位と、マシンの状況はとても良い。明日に向けても予選が大事になると思うけど、レースペースに関しても我々には今回いいベースがあることが今日わかった。明日もこの調子を維持したいね」

バンドーンはベルギー出身の24歳。昨年のGP2シリーズ王者で、今季はマクラーレン・ホンダのリザーブ選手ながら既にバーレーンGPでF1デビューも経験済みだ(F.アロンソの代走、決勝10位入賞)。今季初参戦のSFでも、開幕戦鈴鹿で3位、第3戦富士でポール獲得と、F1界でも指折りの評価を得ている才能の片鱗を見せていた。

今日の勝ち方にしても、チャンスを得たスタートをキッチリ決めるところや、レース中のペースでも後続が1分18秒台に落ちたところで1分17秒台をキープして見せるなど、要所で大切なことをひとつひとつ確実にこなして見せる様は、来季マクラーレンで組む先輩アロンソの如し。そもそも今のハイレベルなSFで、初年度に勝つこと自体が相当なものだ。

来年から日本では鈴鹿(F1日本GP)でしかバンドーンの走りは見られなくなるが、この日岡山に集ったファンに、「あのバンドーンの素晴らしいSF初優勝を見た」という価値ある記憶をプレゼントしてくれた。明日、2連勝なるか。

2位は#2 国本。最大のチャンスを逃して悔しそうな表情が印象的だったが、悲願のシリーズ戦初優勝に向け、明日もう一度、すぐにリベンジのチャンスが来る。「明日はポールからスタートして優勝できるようにしたいです」。こちらも意欲満々だ。

3位には6番グリッド(実質5番手)から好スタートを見せた#7 N.カーティケヤン(SUNOCO TEAM LEMANS /トヨタ)が入り、今季初表彰台。4位には#40 野尻が続いた。5位に入った#10 塚越広大(REAL RACING/ホンダ)は、5周目にこのレースの上位~中団では1周目を除くと唯一といえるコース上でのパッシングを決めている。抜かれた#64 中嶋大祐(NAKAJIMA RACING/ホンダ)が6位。7位は#1 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)、8位は#19 J-P.デ.オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)だった。

#8 可夢偉は完走最下位の18位。#37 一貴は車両後部の破損修復指示による強制ピットインもあるなどした結果、完走規定周回には達しなかった。可夢偉のマシンのノーズが傷んでいたので、最後列から並んで発進した両車が1周目の混戦下、接触していたものと見られる。ただ、一貴は決勝ファステストラップをマークしており、可夢偉も朝のフリー走行では2番手タイムだった。ともに明日の逆襲には期待できるだろう。

明日(11日)はレース2の予選と決勝が実施される。予選はQ1~Q2の2段階ノックアウト式(Q2進出枠は10台)、そして決勝はドライ用タイヤでスタートした場合に1回の4輪タイヤ交換義務がある190km中距離戦(51周)だ。今日とは違う形式の戦いのなかで、今度はどんな展開と結果がもたらされるのか。予選は9時50分、決勝は15時にそれぞれ開始予定となっている。

《遠藤俊幸》

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