【ボルボ XC90 T8 試乗】上級車らしい走りの質感ながら「大きく・重く・高い」…松下宏

試乗記 輸入車
ボルボ XC90 T8
ボルボ XC90 T8 全 14 枚 拡大写真

ボルボ『XC90』の最上級グレードとなる「T8」はツインエンジンと呼ぶプラグインハイブリッド車だ。8という大きな数字が示すように、ボルボ車の中で最もパワフルなパワートレーンを搭載したモデルだ。

エンジンは「T6」用と同じで、直列4気筒2.0リットルのターボ+スーパーチャージャー仕様を搭載する。ボルボはボアピッチを統一してモジュール化した4気筒2.0リットルまでのエンジンに絞ることを表明していて、現時点ではこれが最高の仕様となるものだ。

T8はT6を上回る動力性能を持つが、これはエンジンに加えて前輪用と後輪用の電気モーターを搭載することによる。特に後輪用に65kW(87ps)の強力なモーターが設定されているのが特徴である。システムとして発生する動力性能は欧州基準で640Nmに達するというから、相当な実力である。

T8はプラグインハイブリッド車としてリチウムイオン電池と電気モーターを搭載するため、車両重量はガソリン車のT6に対して240kgも重い2340kgに達するが、走りはその重さを全く感じさせないものだ。

エンジンがスーパーチャージャー付きなのでそもそも低速域での力強さを備えるが、これに瞬時にトルクが立ち上がるモーターが加わるのでグイとアクセルを踏み込んだときに加速感は豪快そのもので、重量ボディがグイグイ押し出されていく。

T8には6種類の走行モードがある。デフォルト(標準状態)はハイブリッドで、エンジンとバッテリー、モーターを効率良く使って燃費を優先させた走りを実現する。

ほかにエンジンと後輪用のモーターを駆動して4WD状態で走るAWD、モーター走行を優先させるピュア、電池の残量維持するセーブ、スポーティな走りを楽しむパワー、路面状況が悪いときのトラクションを最大化するオフロードなどのモードがある。

ピュアを選択すれば、電気モーターだけで35.4kmの距離を走れるほか、モーター走行でも125km/hまでの速度に対応できる。高速走行をしたらモーターでの航続距離は短くなるが、その後はハイブリッド車として走れる。

T8は全体に静かでスムーズかつ力強い走りが可能で、走りの質感は十分に高いレベルにあると思う。ハイブリッド走行でのエンジンとモーターの受け渡しなどもスムーズなもので、走りの切り替わりを意識させない。強いていえば、エンジン音で分かる程度だ。

試乗車にはオプションの電子制御エアサスペンションがオプション装着されていた。これによる乗り心地の良さも高いレベルにある。このエアサスは前述の走行モードに応じて自動的に車高調整などもしてくれる。

T8は走りの質感も充実した安全装備など、いろいろな意味で魅力的なクルマだが、ボディは余りにも大きすぎるし、重すぎる。また1009万円という車両価格も高すぎて一般のユーザーにとって現実的なものにならないのが難点だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. SHOEIが新型フルフェイスヘルメット『GT-エアーIII』にグラフィックモデル「DISCIPLINE」を設定
  2. 【トヨタ GRカローラ 新型試乗】「GRヤリス」とはスタンスが明確に違う理由…河村康彦
  3. ランボルギーニ、新型車を間もなく発表へ…電動『ウルス』の可能性も
  4. 『N-BOXカスタム』用パーツが一挙発売、ブリッツからエアクリーナーシリーズ4種類・5製品が発売
  5. ホンダの新型SUV『WR-V』、発売1か月で1万3000台を受注…月販計画の4倍超
  6. アルピナ『B3』が2度目のフェイスリフトへ! リムジン&ツーリングをWスクープ
  7. [音響機材・チョイスの勘どころ]サブウーファー「小型・薄型モデル」の選択のキモは、“サイズ”と“音”と“価格”!
  8. いすゞとUDトラックス、ジャパントラックショー2024に共同で出展へ
  9. レンジローバー最初のEV、プロトタイプの写真を公開
  10. レスポンスが春割キャンペーンを開催中、「レスポンス ビジネス」法人プランが無料…4月1日~5月31日
ランキングをもっと見る