ローカル三セク、若桜鉄道社長が都内でトークイベント…石破議員も参加

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鉄道への熱い思いを語る石破議員。「鉄道が廃れたところで繁栄したところは一つもない」と語った。
鉄道への熱い思いを語る石破議員。「鉄道が廃れたところで繁栄したところは一つもない」と語った。 全 6 枚 拡大写真

若桜鉄道(鳥取県)の山田和昭社長はこのほど、東京都内でトークイベントを開催した。鉄道マニアとして知られる自由民主党の石破茂衆議院議員(鳥取一区)や、ジャーナリストの田中輝美さんも参加。それぞれが鉄道に対する強い思いを語った。

イベントは山田社長の著書「希望のレール 若桜鉄道の『地域活性化装置』への挑戦」(祥伝社)の刊行を記念し、10月3日夜に行われたもの。臨時国会の合間を縫って参加した石破議員が冒頭のあいさつを行い、続いて山田社長と田中さんによるトークが繰り広げられた。

「希望のレール」の推薦文を書いた石破議員は「国会議員の鉄道好きといえば(民進党衆議院議員の)前原誠司さんと私が双璧」としつつ、「前原さんは(鉄道の撮影を趣味とする)『撮り鉄』。私は列車に乗って酒を飲むのが好きな『乗り鉄』兼『飲み鉄』。流儀が全然違う」とし、主義主張の違いを強調した。

また、「鉄道が廃れたところで繁栄したところは一つもない」などとし、ローカル線の必要性を強調。「政治もいろんなことをやっていくが、『鉄道を残そうよ』と思う人が増えていくことが、何より大事だ」と述べ、ローカル線の維持には市民的な盛り上がりが不可欠との認識を示した。一方、北陸新幹線舞鶴ルート案との一体的な整備が浮上し、自身も建設促進を目指す国会議員会の会長を務めている山陰新幹線については、とくに語ることはなかった。

続いて山田社長が、若桜鉄道のこれまでの取り組みを語った。2015年4月の蒸気機関車走行実験については「やってみた結果、沿線地域の方が自信をつけた。『この地域はもう何をやっても駄目だ』という雰囲気が、『やればけっこういろいろできるじゃないか』という意識に変化したのがうれしかった」と評価した。

各地のローカル線を取材している田中さんは、ローカル鉄道の再建策として近年注目されている社長の公募について「『よそ者』を入れてでも何とかしたいという地域の思いの現れ。思いがないところで公募社長を入れても成果は出ない」と指摘。これに対し山田社長は「タクシー会社より小さい零細企業が『地域をしょって立て』と言われても、できるわけがない。現場は列車を走らせるだけで精いっぱい。地域の協力があって鉄道を支えることができる」と応じた。

若桜鉄道は、郡家(八頭町)~若桜(若桜町)間19.2kmの若桜線を運営する第三セクター。同線は1930年に国鉄線として開業したが、自民党が単独与党だった頃の1980年12月、ローカル線の廃止などを盛り込んだ日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(国鉄再建法)が公布され、若桜線も翌1981年9月に第一次特定地方交通線として廃止が承認された。

その後、第三セクター化による若桜線の存続が決定。1987年6月に運営会社の若桜鉄道が設立され、同社は同年10月から若桜線の経営を引き継いだ。利用者の減少に伴い経営が悪化したため、2009年4月からは公有民営の上下分離経営に移行。2014年には経営再建の一環として社長の一般公募が行われ、由利高原鉄道(秋田県)のITアドバイザーだった山田社長が同年9月に就任した。

《草町義和》

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