JR北海道、日高線鵡川-様似間の復旧を断念…沿線自治体に説明

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日高本線の運休区間内にある静内駅(2005年10月撮影)。JR北海道は復旧の断念を沿線自治体の首長に説明した。
日高本線の運休区間内にある静内駅(2005年10月撮影)。JR北海道は復旧の断念を沿線自治体の首長に説明した。 全 2 枚 拡大写真

JR北海道は12月21日、運休中の日高本線鵡川(むかわ町)~様似(様似町)間116.0kmについて、鉄道の復旧を断念すると沿線自治体の首長に説明した。今後はバスなど代替交通への転換に向け、沿線自治体と協議する方針。

日高本線は、苫小牧(苫小牧市)~様似間146.5kmを太平洋沿いに結ぶ鉄道路線。このうち鵡川~様似間は2015年1月以降、高波で線路が流出するなどの被害が発生しており、運転を見合わせている。

JR北海道の発表によると、鵡川~様似間の1日平均通過人員(旅客輸送密度)は、2014年度で186人。自動車交通の深度化や沿線人口の減少などにより、JR北海道発足時の約3分の1まで落ち込んでいる。年間の赤字額も2014年度で約11億円にのぼる。2017年度には、並行する高規格道路(日高自動車道)の延伸が予定されており、利用者のさらなる減少が想定されるという。

その一方、復旧には少なくとも約86億円かかり、海外侵食対策(離岸堤の整備)も加えると100億円を超える規模になるとみられる。このほか、収支差額と土木構造物の老朽化対策として、年間約16億円の費用が必要という。

JR北海道は、これらの費用を単独で負担するのは困難とし、沿線自治体に費用面での支援や上下分離方式の導入を提案。これに対して沿線自治体は提案の受入れを困難としたことから「『鉄道を持続的に維持する仕組み』が合意に至らなかった」とし、復旧を断念することにした。

JR北海道は今後、バスへの転換を基本に沿線自治体と協議する方針。列車運行時と同等以上の運行本数を確保するための支援や、国や沿線自治体が補助するバス路線への支援を行いたいとしている。一方、日高町長が要望した鵡川~日高門別間の復旧や維持費の試算については「別途ご回答させて頂きたく考えております」とし、明確な意思表示を避けた。

一連の事故や不祥事の影響で経営が悪化しているJR北海道は、利用者の少ないローカル線の廃止を進めており、今年12月4日限りで留萌本線留萌~増毛間の運行を終了。石勝線の夕張支線も廃止に向けて準備を進めている。

このほか、同社は今年11月に路線の存廃に関する方針を発表。原則として旅客輸送密度が200人未満の区間はバスへの転換を基本に沿線自治体と協議し、200~2000人の区間は上下分離方式の導入などにより鉄道を維持したいとしている。

《草町義和》

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