大阪のおばちゃんはヒョウ柄が好きだ。そのせいか、とうとう地下鉄までヒョウ柄になった。そんな地元の声を受け、大阪市内の天神橋筋六丁目駅から天下茶屋駅を結ぶ堺筋線に乗ってみた。
ホームに滑り込んだ車両の外装は普通だ。が、乗り込んで驚いた。乗降ドアの内側全面、連結部のドア、さらに運転台の車内ドアまでヒョウ柄だ。車両ラッピングで外装を変える列車は、よくある。しかし、内装がヒョウ柄とは!
運営する大阪市交通局総務部の広報担当者は、笑いながらこう答えた。「これは『ヒョウ柄』ではなく『動物柄』だとデザイン担当者は言ってます」。し、しかし……。「誰が見てもヒョウ柄なんですけどね」。
なぜ地下鉄の車内が動物柄なのか。御堂筋線の沿線には、大正4年(1915)に開園して、市民に親しまれる天王寺動物園がある。
「無難なデザインからの脱却。これまでのイメージを刷新して、沿線の魅力を車両のデザインに取り入れていこうという試みで、車両の中間更新をきっかけに取り入れている。堺筋線といえば天王寺動物園で、車内にはほかにもいろいろな動物が隠れていますよ」(同広報担当者)
例えば、前方が見える運転台の車内ドアは、子供には大人気の特等席だ。このドアガラスからは、カバが車内をのぞき込んでいる。フラミンゴがいる、ライオン、キリンと続き、反対の運転台ドアにはサル。フラミンゴがいる車両は2号車、「数字の2に似ているから」(デザイン担当者)という落ちまでついている。
ほかにもなんと30種類の動物や爬虫類が潜んでいるというのだが、どこに何がいるかは「実際に乗って探してほしい」(広報担当者)とのこと。外装がきれいでも利用客には実感がわかないが、これなら通勤ラッシュの苦痛も、いくらかはまぎれるかも。
この特別デザイン、堺筋線を走る66系の2編成(列車)で出会うことができる。