神岡鉄道の気動車「おくひだ1号」が復活…廃止から10年ぶり運転

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約10年ぶりに神岡線の線路を走った「おくひだ1号」。冬頃まで奥飛騨温泉口駅で展示される。
約10年ぶりに神岡線の線路を走った「おくひだ1号」。冬頃まで奥飛騨温泉口駅で展示される。 全 13 枚 拡大写真

神岡線の廃線路を活用した軌道自転車(レールマウンテンバイク)の運転体験施設「Gattan Go!!(ガッタンゴー)」(岐阜県飛騨市)で4月8日、神岡鉄道の気動車「おくひだ1号」の復活運転イベントが行われた。「おくひだ1号」が神岡線の線路を走るのは約10年ぶりだ。

神岡線は猪谷~奥飛騨温泉口間19.9kmを結んでいた鉄道路線。JR高山本線に接続する猪谷駅付近は富山県内だが、それ以外は岐阜県北部に位置する飛騨市内の神岡地区を通っていた。

沿線の神岡鉱山で産出される鉱石の貨物輸送を主な目的として着工し、1966年10月に国鉄線として開業。1984年10月には第三セクターの神岡鉄道が経営を引き継いだ。過疎地帯のため旅客列車の利用者は開業当初から少なく、経営を支えていた貨物列車もトラック輸送への切替に伴い2004年10月で終了。2006年11月限りで廃止された。

その後、地元有志が神岡線の廃線路をレールマウンテンバイクの運転体験施設として活用することを検討。2007年から実験運行が始まり、2012年度からは冬季を除き通年営業が行われている。現在は奥飛騨温泉口駅から神岡鉱山前駅までの片道約2.9kmをレールマウンテンバイクで1往復するコースが設定されており、全体の所要時間は約30~40分となっている。

一方、神岡鉄道が保有していた一般列車用のKM-100形気動車1両(KM-101「おくひだ1号」)とイベント列車兼用のKM-150形気動車1両(KM-151「おくひだ2号」)は、神岡線の廃止後も神岡鉱山前駅の車庫で保管されていた。「ガッタンゴー」の取組みが好評だったことから、飛騨市では神岡線や神岡鉱山に関する施設を観光資源として活用する「ロスト・ライン・パーク」構想が浮上。その一環として、神岡鉱山前駅で保管されている気動車を自力で走らせて奥飛騨温泉口駅に移設することが計画され、今回の復活運転イベントにこぎ着けた。

■徒歩でも追い越せる速度で移動

「おくひだ1号」は10時頃、飛騨市の都竹淳也市長らを乗せた特別列車として神岡鉱山前駅を出発。徒歩でも余裕で追い越せるほどの、ゆったりした速度で進んだ。神岡大橋駅で小学生を乗せ、11時少し前には、大勢の沿線住民らで埋め尽くされた奥飛騨温泉口駅に到着した。

同駅で「おくひだ1号」到着の様子を見ていた神岡在住の70歳代女性は「富山に行くときは必ず(神岡線を)使っていた。廃止されたときは『これで神岡は終わったな』と寂しい気持ちになった。10年ぶりに動いている姿を見ることができて、感激です」と興奮気味に話した。その一方、かつてのような営業運転については「復活してほしいとは思う。でも人口が減った今の状況では難しいのでは」と述べ、複雑な表情を見せた。

午後以降は奥飛騨温泉口~神岡大橋間で、抽選による一般試乗会が数回行われた。雨が降ったりやんだりという微妙な天候にもかかわらず、線路脇ではカメラを携えた大勢の鉄道マニアがシャッターをさかんに切っていた。

「おくひだ1号」は4月9日以降、奥飛騨温泉口駅で展示。冬に入る頃には再び自走して神岡鉱山前駅の車庫に戻す。計画上は年に2回、神岡線の線路を走ることになる。

「ガッタンゴー」を運営するNPO法人神岡・町づくりネットワークの田口由加子さんは「『おくひだ1号』は決して元気な状態ではなく、引き続き修繕が必要だ。線路にしても、どの程度まで修繕すればいいのかなど分からない部分もある。まずは今の状態をキープできるよう、気を引き締めていきたい」などと話した。

《草町義和》

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