トヨタ 磯部常務「クルマづくりと思いは同じ」…歩行リハビリ支援ロボットをレンタル販売

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トヨタ 歩行リハビリ支援ロボット「ウェルウォーク WW-1000」
トヨタ 歩行リハビリ支援ロボット「ウェルウォーク WW-1000」 全 3 枚 拡大写真

トヨタ自動車は4月12日、東京本社で「パートナーロボット」に関する記者会見を開き、開発を進めてきた歩行のリハビリテーション支援ロボットを2017年9月から国内で医療機関などにレンタルすると明らかにした。

このロボットは「ウェルウォーク WW-1000」で、脳卒中などによる下肢麻痺の人の歩行リハビリテーション支援に使う。歩行ベルトやモニターといった本体や、膝部にモーターを配置したロボット脚などで構成し、モーターやセンサー、制御ソフトにトヨタの技術ノウハウを生かしている。

トヨタは07年末から藤田保健衛生大学(愛知県豊明市)と共同で、このロボットの開発に着手。11年から医療現場での実証実験、14年からは医療機関での臨床的な研究に活用してもらってきた。現在は全国23の医療機関へ導入、これまで900人超の患者が利用し、好評を得ているという。藤田保健衛生大の才藤栄一教授によると、重い患者だと平均で3か月を要するリハビリが、このロボットにより1.6倍のスピードでできるようになったという。

16年11月に国から医療機器としての承認を取得し、レンタルによる販売へとつなげた。価格は初期費用が100万円で、レンタル費用は月額35万円(いずれも税別)と設定した。パートナーロボット部によると、3年で100台規模の販売を計画している。受注は5月に始める。当面は国内のみだが海外展開も図っていく。

トヨタは「人との共生」を目指して人をサポートするパートナーロボットの開発を、2000年の要素技術研究から着手。05年の愛知万博の自社パビリオンに楽器を演奏するロボットなどを出展した。07年には開発ビジョンを発表、医療護支援ロボットの開発に着手していた。08年にはパーソナルな移動支援ロボットとして立位で走行する「ウィングレット」を実用化している。

トヨタの未来創生センターを担当する磯部利行常務役員は12日の記者会見で「これからの社会ニーズに応えるには移動支援と少子高齢化対応が非常に重要ととらえている」と、今回のリハビリ支援ロボット開発の狙いを説明。少子高齢化への対応については「2050年に高齢者を支える現役世代は、2000年比で3分の1に減少する。パートナーロボットによって現役世代の負担が増えない社会をつくっていきたい」と、トヨタが同ロボットに託す思いを語った。

また、「クルマづくりで国を豊かにしたいという当社の思いは、このロボットでも変わらない。世のため、人のために世の中を明るくするという技術」と指摘。「今は事業ありきではないが、社会ニーズのなかで、必ずこれらが事業に結びついていくと信じてやっていきたい」と、将来の成長力への期待も示した。

《池原照雄》

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