大井川鐵道(静岡県)は5月2日、車両の入替作業用として使用してきたE31形電気機関車について、営業運転に向けた整備を始めたと発表した。2018年度中の稼働開始を目指す。
E31形は1986年から1987年にかけ、西武鉄道が4両製造した電気機関車。工事用列車などのけん引機として使われ、2010年までに4両全てが引退した。このうち3両(E32~E34)は大井川鐵道に譲渡されたが、譲渡後は車両の入替作業で使われており、営業運転用としては整備されていない。大井川本線で電気機関車けん引の営業列車を運行する場合、1949年から1956年にかけて製造された旧型電気機関車3両が使われている。
発表によると、E31形3両に安全保安装置を設置するなどの改造を本年度中に行い、2018年度中にも大井川本線の営業運転で使えるようにする。整備後はSL列車の補助機関車として使うほか、利用者が多い時期には臨時列車のけん引機としても運用する。一方、今回のE31形の整備は旧型電気機関車の負荷軽減などが目的としており、旧型電気機関車の用途廃止は今のところ考えていないという。
大井川鐵道は蒸気機関車の動態保存運転で知られるが、電車や電気機関車なども関東・関西の大手私鉄などから多数譲り受けており、1両ごとに形態が異なるほどバラエティに富んでいる。大井川鐵道は「今回、さらに個性的な車両が第一線に加わることとなり、鉄道ファンのみならず一般のお客様にも多彩な車両群をお楽しみいただくことができると考えております」としている。