三菱自動車工業は5月9日、2017年3月期の連結決算と今期(18年3月期)の業績予想を発表した。今期は日産自動車との提携効果やインドネシア新工場の稼働などにより、営業利益は前期比約13.7倍の700億円と、2期ぶりの増益で大幅回復を予想している。
今期のグローバル販売計画(小売ベース)は11%増の102万9000台と、2期ぶりに100万台ラインに戻す。このうち主力のアジアは23%増の38万9000台とした。4月に開所式を行ったインドネシア新工場での新モデル投入効果などを織り込んだ。一方、軽自動車の燃費不正によって前期は大幅に落ち込んだ国内は、13%増の9万台を計画している。
為替レートは1ドル105円と、前期実績から4円の円高を前提にしており、営業損益段階で50億円の減益影響となる。一方、コスト低減については350億円を見込み、このうち日産とのシナジー効果として250億円を織り込んだという。今期の純利益予想は680億円(前期は赤字)と2期ぶりに黒字転換する。売上高は5%増の2兆円と、2期ぶりの増収を見込んだ。
17年3月期決算は、燃費不正による販売減や顧客への賠償費用などによって営業利益が96.3%減の51億円、純利益は1985億円の赤字となった。営業利益は16年10月時点で276億円の赤字予想だったが、月次損益を厳しく管理する日産方式の導入などもあって黒字を確保した。グローバル販売は12%減の92万6000台に落ち込んだ。同期の年間配当は前期比6円減配の10円、今期は14円を予想している。
都内の本社で記者会見した益子修社長は今期の取り組みについて「やるべきは信頼の回復。業績のV字回復を信頼回復にもつなげたい。単年度の業績回復とともに、持続的成長へ向けた将来への布石を打つ年にしたい」と語った。また、今年度から19年度までの中期計画の策定に入っているとし、最終年度までには「販売台数を現状の25%増の125万台、営業利益率は6%に回復させたい」と指摘した。