阪急電鉄「幻の鉄路」が長期計画に…十三~新大阪間の連絡線

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新大阪駅付近の新幹線高架橋に沿って確保されている新大阪連絡線の建設用地。現在は駐車場として使われている。
新大阪駅付近の新幹線高架橋に沿って確保されている新大阪連絡線の建設用地。現在は駐車場として使われている。 全 3 枚 拡大写真

阪急阪神ホールディングス(阪急阪神HD)は5月19日、同社グループの長期計画「阪急阪神ホールディングスグループ 長期ビジョン 2025」を策定したと発表した。鉄道関係では新大阪連絡線の整備などが盛り込まれた。

「長期ビジョン」の概要によると、「少子化等の影響により沿線人口の減少が見込まれるほか、技術革新の進展等に伴いライフスタイルや生活環境も大きく変わっていくことが予想」されるとし、これに対応するための長期計画を策定。阪急・阪神の経営統合から20年を迎える2025年度時点の「グループの長期的にありたい姿」をまとめた。

長期計画の柱は「梅田・沿線×ストック型事業」「首都圏・海外×ストック型事業」「フロー型事業」の三つ。このうち「梅田・沿線」では「関西で圧倒的No.1の沿線の実現」を掲げ、「梅田エリアの価値向上」「鉄道新線による交通ネットワーク(インフラ)の整備」「沿線主要拠点の再開発・リノベーション」を重点施策とした。

「梅田エリアの価値向上」では、大阪神ビルディングと新阪急ビルの建替計画(梅田1丁目1番地計画)の推進や、既存物件の再開発などを掲げた。「沿線主要拠点の再開発・リノベーション」では、三宮・西宮・野田各エリアの再開発や新駅の整備を盛り込み、コンパクトシティを念頭に置いた「駅中心のまちづくり」にも取り組んでいくとした。

「鉄道新線による交通ネットワーク(インフラ)の整備」では、北大阪急行線の延伸と「新大阪連絡線の整備を盛り込んだ。阪急阪神HDは、これらの施策の実施により「ASEANの成長やインバウンド需要を取り込み、また新産業を集積させ、ひいては国土軸や空のゲートウェイとの結節点となるようなまちへと梅田を変貌させていく」などとしている。

■「幻の鉄路」が復活か

新大阪連絡線は、阪急電鉄の各線と東海道新幹線の新大阪駅(大阪市淀川区)を結ぶ路線として計画された鉄道路線だ。今から56年前の1961年12月、阪急は淡路~新大阪~十三間と新大阪~神崎川間の事業免許を取得。建設用地の確保が進められ、新幹線と交差する部分は立体交差のためのスペースも確保された。しかし、用地買収の難航などにより計画は進まず、実質的には「幻の鉄路」と化していた。

阪急は2003年3月、用地の確保が進まなかった淡路~新大阪間と新大阪~神崎川間の事業許可を廃止。新大阪駅付近に確保された建設用地の一部は、新幹線ホームの増設やビルの建設に転用された。残る新大阪~十三間は現在、新大阪駅と関西国際空港(関空)を結ぶ鉄道アクセスルートの一部として整備することも考えられている。

阪急阪神グループの北大阪急行電鉄が運営する北大阪急行線の延伸事業は、江坂~千里中央間を結ぶ同線をさらに北へ伸ばし、箕面市萱野地区の新箕面駅(仮称)まで延伸するもの。今年1月に着工し、2020年度の開業が予定されている。

《草町義和》

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