【アイサイト ツーリングアシスト 試乗】前車追従でカーブもクリア、課題は操舵のスムーズさ…丸山誠

試乗記 国産車
「アイサイト ツーリングアシスト」を搭載するスバル レヴォーグ 改良新型
「アイサイト ツーリングアシスト」を搭載するスバル レヴォーグ 改良新型 全 21 枚 拡大写真

この夏発表予定のマイナーチェンジモデルの『レヴォーグ』、『WRX S4』に先進安全装備アイサイトの機能を拡大した「ツーリングアシスト」が搭載される。このツーリングアシストの体験試乗会が、茨城県の日本自動車研究所(JARI)城里テストセンターで開催された。

先進安全装備の代表格としてアイサイトは広く認知されているが、現在最新モデルの『XV』に搭載されているのはバージョン3。新型レヴォーグのアイサイトはバージョン4を名乗らず、アイサイト・ツーリングアシストと呼ぶ。エンジニアによるとデュアルカメラなどのハード面に大きな変更はなく、新機能を追加したため、あえてバージョン3.5などの名前にしなかったという。また、名前が長くなりすぎることにも配慮したという。

注目の新機能は、高速道路の渋滞時を含む全車速域でアクセルやブレーキ、ステアリングを自動制御できるようになった。従来は60から約100km/hの間でレーンキープを行っていたが、アイサイト・ツーリングアシスト(以下ツーリングアシスト)はスタート時から120km/hまでの間で先行車追従とレーンキープが可能。渋滞から低速域のドライバーの運転負荷を大幅に軽減できるため、ツーリングアシストではさらに実用性が高まった。

試乗車のレヴォーグに乗り込むと、直前の雷雨によって路面から水蒸気が発生し、まるで霧が発生したような状態。カメラシステムを使うアイサイトにとっては最悪の条件下だが、試乗としては最高の気象条件。この状態で正確に作動すれば信頼性がさらに高まるからだ。

先行車に追従してスタート。約70km/h前後で走行中、追従する先行車がふらついても自車はつられて動く挙動はなく、レーン中央をキープ。高速道路を想定した緩やかなカーブでも、先行車がいなくなってもレーンの白線を認識してステアリングに手をそえているだけでスムーズに曲がってくれた。

霧がかかったような悪条件下だったが白線の認識が途切れることがなく、西日に向かう逆行の条件下でもレーンキープを維持した。ただし、濡れた路面に西日が当たって路面が輝くような場面では、さすがに車線を認識できなかった。

注目の低速域の操舵支援は、R80ぐらいの曲率のコーナーなら25km/h前後でも前車を認識して追従。R60のカーブがきついコーナーを25km/h前後で進入するとさすがに追従制御が途切れてしまうが、10km/h以下なら追従することもあった。

高速道路での渋滞で使うことを想定しているためツーリングアシストなら、多くの渋滞路で運転支援が作動することになる。もちろん一般道でも使えるが、あくまで支援装置なので、道路を横断する歩行者や自転車などにドライバーが注意することが必要。

少し気になるのは低速域の操舵のスムーズさで、きついコーナーほど小刻みな動きりなりがちだ。ステアリングを握ることが前提のシステムだからこうした動きが気になるのだが、メルセデス・ベンツの『Eクラス』やBMWの『5シリーズ』などの操舵はスムーズ。

車両価格が倍ほど違うモデルと比べるのは酷だが、ツーリングアシストの操舵の動きは前述の2車ほど洗練されてはいない。この点はエンジニアも理解していた。

ツーリングアシストの操舵感の原因を聞くと、まず1つがソフトのプログラムでもっとブラッシュアップすると、ある程度改善できるという。もう1つはステアリング機構の精度の違いがあるという。例えばギヤのかみ合わせの精度をもっと向上させるなど、別のステアリングシステムを導入することも改善策だと話していた。

日産が『スカイライン』に採用しているDAS(ダイレクト・アダプティブ・ステアリング)のバイワイヤーステアリング機構であれば、こうしたフィールは解消されるはずだ。

スタートから120km/hまでの速域でレーンキープすることと、60km/h以下なら白線の車線がない状態でも前車に追従走行するのはツーリングアシストの大幅な進化ポイントで、さらに安全性が向上した。レヴォーグだけでなく、WRX S4にも全車標準装備というのがうれしい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

丸山 誠|モータージャーナリスト/AJAJ会員
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。

《丸山 誠》

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