【ルノー ルーテシアR.S. 改良新型】3つのシャシーで、更なるシェア拡大を目指す

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ルノー・ルーテシアR.S.
ルノー・ルーテシアR.S. 全 32 枚 拡大写真

ルノー・ジャポンは7月6日、マイナーチェンジした『ルーテシアルノー・スポール(以下ルーテシアR.S.)』の発売を開始した。価格は284万円から。

◇Bセグホットハッチの基幹車種

現在同社が想定する日本のBセグホットハッチ市場には、VW『ポロGTI』、プジョー『208GTi』、そしてルーテシアR.S.が存在する。同社マーケティング部マネージャーのフレデリック・ブレンさんによると、「これら3メーカーを欧州では、豊富なボディタイプや、AセグメントからEセグメントまで多岐にわたるラインナップがある“ジェネラリストメーカー”と位置づけ、そのうちのホットハッチはこの3車種だ」と市場構成を述べる。これら以外に“スペシャリストメーカー”という範疇にMINI『クーパーS』が存在し、「(日本では)年間1600から1700台ぐらい販売するBセグメント全体のトップだ」とブレンさん。

ジェネラリストメーカー内で、Bセグホットハッチ市場のルノーのシェアについてブレンさんは、「2013年に4世代目ルーテシアR.S.を発表した時に24%のマーケットシェアを持ち、続けて2014年にはほぼ800台弱、3車種の中で60%弱のシェアを誇った」と振り返る。そして、「一時ポロGTIのマイナーチェンジによりシェアは落ちたものの、2017年の1から5月期では再びルーテシアR.S.がトップに出た」とし、「更にこのシェアを伸ばし、台数を増やしたいということで、今回マイナーチェンジ版を登場させた」と背景を語った。

◇3つのシャシーで再攻勢

このマーケットの特徴についてブレンさんは、「ライフサイクルが短く、登場させた翌年には台数は下がってしまうので、(台数を)維持するのが非常に厳しいマーケットだ」という。そこでルノー・ジャポンとしては、「マーケットをきちんと確立し、多くのお客様に提供するために今回シャシーカップを再び導入し、3つのシャシーバリエーションを展開する」という。

2013年と14年、ルーテシアR.S.はシャシーカップとシャシースポールの2モデルを展開。その後、ヨーロッパでは限定車だったトロフィーが、日本ではカタログモデルとして導入可能となったことから、「シャシーカップを一時お休みさせて、シャシースポールとトロフィーを投入し、 2年ばかり販売。これで台数を維持してきた」とブレンさん。

そして今回、「もう一度ベストバランスを保つシャシーカップを導入するべく、エントリーモデルとなるシャシースポールの販売価格を、300万円を切る284万円に設定し、シャシーカップもこれまでより約10万円価格を下げた。そして、トロフィーの価格をキープすることで、3つのバリエーションでの導入戦略を立てたのだ」と説明。その結果、「多くのお客様に選んでもらえるルーテシアR.S.になった」と話す。

それぞれの想定ユーザーについてブレンさんは、「トロフィーはサーキット走行会に出場するような方のために。そして、もっと日常生活にも使いたいし、奥様も乗るという方であればシャシーカップが相応しい。シャシースポールは、一度は新車のルノースポールモデルに乗ってみたいというお客様にお応え出来るよう300万円(以前は309万)を切る販売価格を実現した」とコメントした。

◇それぞれのシャシーの特徴

ベーシックのシャシースポールのシャシーセッティングは、「スプリングやダンパー、トーションバー、ディスクが(標準のルーテシアより)大幅に変更され、同時にブッシュの取り付け位置や、補強なども違っている」。具体的には、トーションバーの直径は22.5mm、厚みは3.7mm。スプリングダンパーの剛性はフロントが37N/mm、リアは35N/mm。フロントディスクの直径は320mm、リアディスクは260mmだ。因みにこのディスクの径はシャシーカップ、トロフィーも同様だ。

シャシーカップは、フロントのダンパースプリングの剛性を更に27%、リアは20%アップ(対シャシースポーツ)させ、シャシースポールに対して3mmほどローダウン。ステアリングレシオは、シャシーカップ、スポールとも共通で14.5:1となる。

トロフィーのステアリングレシオは13.2:1と更にクイックとなり、スプリングとダンパーはシャシーカップと共通だが、カップよりもフロントが10mm、リアは20mmローダウン。シフトスピードも若干速くなっている。

◇フルLEDヘッドランプとR.S.ビジョンを採用

今回のマイナーチェンジではエクステリア、特にフロント周りの変更が大きい。これまでのハロゲンヘッドランプからフルLEDヘッドランプになったほか、フォグランプがチェッカーフラッグのシェイプをモチーフにしたR.S.ビジョンを採用。ブレンさんは、「LEDなのでハロゲンのものよりも2割ほど明るく、かつ、フォグランプとコーナリングランプ、ポジションランプの機能を持っている。また、ヘッドランプがハイビームの時もローレンジのヘッドランプとしての機能も兼ね備えている」という。

インテリアでは、シャシースポールは通常のルーテシアや『キャプチャー』、『トゥインゴ』と同様にラジオがR&Go対応となり、シャシーカップとトロフィーは現行と同じ7インチのタッチスクリーンを採用する。

走りの面に関してはこれまでと同様で、フロントにハイドロリックコンプレッションコントロールダンパーが採用されるほか、R.S.デフ、3つの走行モードが選べるR.S.ドライブも継続採用されている。

搭載されるエンジンはシャシースポールとシャシーカップは共通で、1.6リットル直噴ターボエンジンが搭載され、200ps、240Nmを発揮。6速EDCが組み合わされる。そして、トロフィーは、ターボブーストを上げ220ps、260Nmを発揮。レブリミットも300rpm上がり6800rpmとなる。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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