ライダー落下事故、防止の検討なかった!?…国交省の防護柵設置基準

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2017年の転落事故現場となった首都高速狩場線阪東橋出口
2017年の転落事故現場となった首都高速狩場線阪東橋出口 全 1 枚 拡大写真

首都高速で約6年間に3人のライダーが道路から落下して死傷する事故が続いている。首都高速会社は国土交通省の通達に基づき、高さを決めていると言うが、その設置基準の検討過程で二輪車について議論された痕跡が見つからない。

防護柵設置基準は車線逸脱や転落による事故の拡大や二次被害を防ぐために2004年、道路局長名で出された。防護柵を設置すべき区間、防護柵の強度、高さ、防護柵の材料などの基準が、数値で詳しく記載されている。

特に高さ基準については、「車両用防護柵の高さは車両が防護柵に衝突した場合に、乗員の頭部などが防護柵部材に直接衝突することを防止するため、防護柵の高さが乗員頭部の高さ以上とならないよう、原則として1m以下にする」(石井啓一国土交通相)と、明確に決まっている。

さらに60~100センチを原則にして、性能を満たすためにやむを得ず100センチ以上にする場合は、車両衝突時における乗員頭部の安全性を確保できる構造としなければならないとも定めている。

そもそもこの高さ基準に問題はないのか。設置基準の通達や、日本道路協会が作成した同解説の中では、強さについてはトラックの衝突を前提とし、高さについては乗用車の逸脱を前提としていることが記載されているが、二輪車を前提とした記載はまったくない。防護柵の設置基準は二輪車対策も検討されたのか。担当者への取材では「不明」、情報公開請求で検討資料の開示を求めたが「当時の資料は残っていない」という回答しかなかった。

ライダーの頭部は乗用車の運転者より30センチ前後高い。関係者は「乗用車の頭部が守られる基準であれば、それより高い位置にある乗員の直接衝突は避けられるという考えで、二輪車の検討には至らなかったのではないか」という。が、ライダー落下事故に限れば、頭部の直接衝突は避けることはできたものの、防護柵本来の目的である逸脱防止には至らず、死者を増やす結果となってしまった。

《中島みなみ》

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