ライダーにやさしくなればなるほど速い…スズキ GSX-R1000R 新型車体開発者【インタビュー】

モーターサイクル 新型車
スズキ GSX-R1000R ABS
スズキ GSX-R1000R ABS 全 29 枚 拡大写真

スズキの新型『GSX-R1000R ABS』をサーキットにて試乗したが、オール新設計の車体は応答性と俊敏性が向上している。ストレートからコーナーへ進入していくとき、ブレーキングで意識的に車体姿勢を整えなくとも、スッと車体を寝かし込んでいけるイージーな感覚があるのだ。

試乗後、車体設計担当の小林浩二さんにそれを告げると「そういう乗り味を狙いました!」と答えてくれた。

「上手なライダーはコーナーの手前でキチッとブレーキングができ、車体を曲げていくための姿勢をつくれるのですが、新型ではブレーキングにそれほど気を遣わなくとも、楽に一次旋回に入っていけると思います」

開発チームは、今回の新型でディメンションを一新している。
ホイールベース 1405mm→1420mm
キャスター 23°50'→23°20'
トレール 98mm→95mm
装備重量 205kg(ABSモデル)→203kg

「エンジンの出力がものすごく出ているので、ホイールベースを伸ばして対応しています。マシンがライダーにやさしくなればなるほど速く走ることができる、と我々は考えていまして、過激で扱いづらい車体にならないよう設計しました」(小林さん)

1つキモとなっているのは、スイングアームの長さだ。最終的に35mm伸ばした。2次減速比を含めて、最終段階まで熟考したという。

「結果的に、コーナーの立ち上がりでより早くアクセルを開けられるようになりました」(小林さん)

つまり、コーナーからの脱出が早くなり、ストレートでの加速もより鋭くなって速度を高めていける。

新型GSX-R1000Rはエンジンを6°後傾させたことによってエンジン前後長が短くなり、フロントアクスルからスイングアームピポットまでの距離を20mm短縮している。エンジンを前輪に近づけることでフロントまわりのフィーリングとライダーに届く情報量を増やすことに成功しているが、スイングアーム長を伸ばすことでハンドリングを過激すぎるものにせず、小林さんの言う“ライダーにやさしい”ものとしているのだ。

200ps近いパワーを発揮する1000ccスーパースポーツでありながら、やさしさ=扱いやすさを追求。それが速さに結びついた。

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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