住友商事は台湾のgogoro(ゴゴロ)と戦略的パートナーシップを締結し、9月28日に表参道ヒルズで記者会見をおこなった。その内容はgogoroの手がけるエネルギー供給インフラを活用して、オープンプラットフォーム事業を共同展開する、というもの。
gogoroはバッテリー交換式の「スマートスクーター」を開発・製造するだけでなく、「GoStation」と名づけられたバッテリー交換ステーションの製造も手掛けている。バッテリーは個人所有ではなく、ユーザーは残量の少なくなったものをステーションに差し込み、充電済みのものを抜き出して装着する仕組みだ。
GoStation は台湾全土の420ヶ所以上に設置されているほか、gogoroはパリ(フランス)とベルリン(ドイツ)でも事業を展開。車両は2015年の発売以来、累計で3万4000台以上が販売されているとのこと。
そしてgogoroと住友商事の両者は中・長期的な計画として、バッテリーをオープンプラットフォーム化する構想を発表。これはステーションや交換式バッテリーをエネルギーネットワークの基盤とし、他社製スクーターやその他のトランスポーテーションの電源として開放するというもの。これによって多様な電動モビリティの普及を目指すとしている。
gogoroのホレイス・ルークCEOによれば、台湾のネットワーク化された既設ステーションでは現在、1日あたり1万7000回のバッテリー交換がおこなわれているという。各ステーションの情報はクラウドで管理され、バッテリーの配置を最適化。需要ピーク時には充電スピードを上げるなどの対応で「在庫切れ」が起こらないようになっているという。
「私たちは車両メーカーでもバッテリーメーカーでもありません。gogoroで開発しているのは、最先端のエネルギー供給ネットワーク。これを地球上で初めて展開できている企業だと自負しています」とルークCEOは語っている。
いっぽう住友商事は、石垣市(沖縄県石垣島)が目指す「新たな価値の創造による”持続可能な発展”を目指した島づくり」をサポートする一環として、市と提携を結びgogoroの車両とステーションを活用することも発表。地元企業と協力しながら今年度中にステーションを島内の4ヶ所に設置し、シェアリングサービスの開始を目指すという。
石垣市のサービスでは、ステーションの一部に太陽光発電パネルも設置。電力の一部を再生可能エネルギーにすると同時に、非常用電源としての役割も担うことができる。
車両は第2世代モデルの『2』を採用。原付一種と二種に相当する2種類の出力が用意される。これは観光需要の高い石垣島ならではの判断だと住友商事モビリティサービス事業部の緒方剛 副部長。
日本人ユーザーには、普通自動車免許でも運転できる一種が適している。いっぽう海外、とくに台湾をはじめとしたアジア各国から訪れた人にとっては、小出力で2人乗りもできない一種より、普段乗り馴れているものに近い二種のほうが利便性が高い。
当然ながら自動車や自転車のレンタル、シェアリングとは異なり、スクーターにはヘルメットの着用が義務づけられている。つまりヘルメットやグローブ等の装備の貸し出しが必要となる場面も多くなりそうだが、これについては「利用者の利便性を損なわない方法を検討中」と緒方 副部長は説明している。
住友商事はgogoroが実施した約300億円の第三者割当増資の一部を引き受けるとともに…