東京地下鉄(東京メトロ)は9月29日午前、東西線の行徳車両基地(千葉県市川市)でホームドアの車両への積込み作業を報道陣に公開した。ホームドアを積み込んだ編成は回送列車として九段下駅(東京都千代田区)まで運転され、同駅で設置工事が行われる。
作業は10時15分頃から開始。ホームドアが積み込まれるのは15000系電車の第64編成(10両)で、あらかじめ車両基地の留置線でドアを開けて待機していた。編成6両目(15614号)の脇に、クレーンを使ってホームドアを載せる架台を設置。続いて架台と15614号のドアの間に渡り板が設置された。車内は床を防護するための板が敷かれ、ホームドアを固定するためのロープも取り付けられた。
10時40分頃、ホームドアを満載したトラックが「バックします。ご注意ください」の聞き慣れた自動音声とともに入ってきて、架台の手前で停止。荷台のカバーが取り外されると、キャスター付きのホームドアが姿を現した。ホームドアはクレーンを使って一つずつ、ゆっくりと慎重に荷台から架台へと移されていく。架台からはキャスターを使った手押しになり、数人がかりで各車両へと順次運び込まれてロープで固定された。
既設の駅にホームドアを設置する場合、ホームドア一式を何らかの方法で駅まで運搬する必要がある。現在普及しているタイプのホームドアは寸法が大きく、駅の外からホームまでは階段などが障壁となって、運び込むのが難しい。
このため、ホームドアの運搬には、通常使用している旅客列車の編成を用いることが多い。ドア一式を編成内で設置場所順に並べて積載すると、到着時に下ろした場所がそのまま設置場所になり、効率が高いという利点もある。東京メトロ広報部によると、15000系はラッシュ対策としてドアの幅を広げた「ワイドドア車」になっており、他の車両に比べてホームドアの積み下ろしがしやすいという。
第64編成は積込み作業の完了後、行徳車両基地でしばらく待機。深夜に回送列車として九段下~飯田橋間にある引込線まで走る。東西線の営業終了後に九段下駅まで戻り、A線ホーム(西船橋方面)で停車。ここでホームドアを下ろして設置工事が行われる予定だ。