【WEC 第7戦 富士】最後は赤旗中断のまま終了…トヨタが母国戦1-2フィニッシュ、中嶋一貴らの8号車が優勝

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中嶋一貴(右)らの#8 トヨタが優勝。中央はデビッドソン、左はブエミ。
中嶋一貴(右)らの#8 トヨタが優勝。中央はデビッドソン、左はブエミ。 全 8 枚 拡大写真

15日、世界耐久選手権(WEC)第7戦「富士6時間」の決勝レースは残り1時間半の段階で赤旗中断となり、再開されないまま終了、トヨタが1-2フィニッシュを飾った。優勝は中嶋一貴らの8号車で、2位に小林可夢偉らの7号車が続いた。

雨と霧、それによるアクシデント発生にも悩まれたレースは、セーフティカー(SC)導入等を繰り返しながら進んでいった。だが、残り1時間30分というタイミングでこの日2度目の赤旗中断に。そしてレースは再開されることなく、残り10分で終了が決定する。

最後は1周の“パレードラン”のような格好でパルクフェルメ(車両保管)へと向かい、トヨタが#8、#7の順で1-2フィニッシュ、#1 ポルシェが3位という結果に収束した(3台は赤旗の時点で115周を消化していたが、リザルト上は113周終了扱い)。

<LMP1クラス=総合最終結果>
1位 #8 トヨタTS050(S. ブエミ & A. デビッドソン & 中嶋一貴)
2位 #7 トヨタTS050(M. コンウェイ & 小林可夢偉 & J-M.ロペス)
3位 #1 ポルシェ919(N. ジャニ & A. ロッテラー & N. タンディ)
4位 #2 ポルシェ919(T. ベルンハルト & E. バンバー & B. ハートレー)*1周遅れ

トヨタは2年連続の富士戦勝利、これで母国戦は6年間で5勝となった。トヨタのWEC優勝は今季第2戦以来でシーズン3勝目、いずれも#8が勝ち星をあげている。

#8 トヨタは結果的に#7、#1よりも1回ピットストップが少なかった。中嶋一貴は、「もし最後に(中途半端なタイミングで)レースが再開されていたら終わりでしたね。SCラン5周分くらいしか燃料が残っていなかったので。そういう意味ではラッキーもありました」とゴール後に語った。

もちろん幸運という要素もあったが、途中からレースの流れ的な部分もあって#8と#7の作戦が分かれていくなかでも、とにかく「なるべくトラックポジション(コース上での見た目の順位)優先で」という意図のもとにレースを進めたチームとしての判断が奏功した勝利といえよう。運を引き寄せた、と言いかえてもいい。

惜しくもポールを獲れなかった予選で一貴が感じていたように、マシンにも対ポルシェの接戦状況下、確実なスピードがあった。「水の量が多い時は、僕たちの方がポルシェより速かったと思います」。雨量の面でも富士の空がトヨタに味方した面はあったようだが、一貴はポルシェと戦える位置に居続けて勝ったという内容に充足感を得ている。「運もありましたけど、(チーム全体として)勝ちに値する内容のレースだったと思います」。

この日の一貴はかなり長い時間、8号車のコクピットを受け持つことにもなった。「とにかく何事もなく終われて良かったです。長かったですけどね(笑)。クルマとチームのおかげだと思いますし、寒い中を最後まで残ってくださったファンのみなさんのためにも、勝てて良かったです」。

一貴自身にとっては4年ぶりのWEC富士戦3勝目。実力と流れがかみ合っての勝利で、#2 ポルシェのドライバーズタイトルとポルシェのマニュファクチャラーズタイトル、この両方の決定を阻止するかたちにもなった。一貴自身のタイトル奪取の可能性も「徳俵ですけどね」という状況ながら、残すこととなっている。「厳しい状況でも、可能性がある限りあきらめはしません」。残り2戦での奇跡の逆転戴冠を目指す。

WEC第7戦富士の各クラス優勝は以下の通り。

LMP2:#31 オレカ07-ギブソン(J. キャナル & N. プロスト & B. セナ)
LMGTE-Pro:#51 フェラーリ(J. カラド & A. ピエール-グイディ)
LMHTE-AM:#54 フェラーリ(T. フロール & F. カステラッチ & M. モリーナ)

LMP2クラスでは、日本にも馴染みの深いF1レジェンド2人の息子と甥、アラン・プロストの息子ニコラとアイルトン・セナの甥ブルーノが勝利を得ている。LMGTE-Amクラスに参戦しているクリアウォーターレーシングの#61 フェラーリ(W-S. モク & 澤圭太 & M. グリフィン)はクラス2位。残念ながら、澤の凱旋勝利はならなかった。

次戦は中国・上海に舞台を移し、11月5日決勝の日程で開催される。また、2018/2019シーズンというかたちで“1.5年”のロングスパンシーズンになる来季に関しても富士戦はカレンダーに組み込まれており、現段階では2018年10月21日決勝のスケジュールとなっている。次回は荒天ならぬ、好天でのレースを望みたいところだ(本年の決勝日観衆は3万2000人、記事中の順位はゴール後の発表到達順位に依る)。

《遠藤俊幸》

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