【東京モーターショー2017】自動運転は進化させつつ、サーキットでも走らせる…アウディ

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アウディ(東京モーターショー2017)
アウディ(東京モーターショー2017) 全 8 枚 拡大写真

アウディジャパンのブーステーマは“アウディAI”だ。そこで同社ではレベル3の自動運転を実現する新型『A8』や、コンセプトカー『エレーヌ』を出展した。

◇自動運転化時代でもスポーティなクルマを作り続ける

パワートレインの電動化や自動運転化など、一世紀以上にわたる自動車の概念が大きく変わりつつある現在、「クルマのシステムが人間に変わって運転という行為を引き受け、リアルタイムでクラウドと通信しながら、決してクラッシュすることなく常に最も効率の良いルートで運転を行う。かつてはサイエンスフィクションの世界と思われていたオートパイロットが、2020年代のうちにも実現することが予見されている」とは、同社代表取締役社長斎藤徹氏の弁。

しかし、コンピューターの運転は信用出来ない。あるいは、ドライバーがアクセル、ハンドルを操作してこそ、クルマであるという自動車ファンも少なくない。「アウディはそうしたクルマを運転する行為の意味や、楽しみを否定しない。完全自動運転の時代になっても操る楽しさのあるスポーティなクルマを作り続けるつもりだ」と明言する。

◇自動運転化で余裕の出来た時間は25時間目

アウディの自動運転に関する考え方について斎藤氏は、「レベル3、レベル4といった定義は、あくまでも技術的なカテゴリー分け。重要なことは、ユーザーにどういったメリットがあるのか、その使用形態だ」という。全世界で12億台以上のクルマが走る現代社会においては、過密化する都市の渋滞や、経済損失、それによる事故がますます増大。また、常に外界と繋がり、忙しい毎日を送る現代人にとって、毎日の通勤路の運転や、都市間の長距離移動は、「退屈で無駄な時間と感じられるだろう。そうした状況を自動運転システムが運転を代行すれば、そこで生まれた時間を仕事や同乗者との会話、もしくはリラックスすることなど他の有意義な活動に使える」と述べる。

アウディが新型A8で、高速道路における渋滞時に同一車線内での自動運転を行う、AIトラフィックジャムパイロットを開発したのは、「渋滞中の運転に費やす時間をユーザーに有効に使ってもらえると考えたからだ」と説明。

アウディでは、「こうして生まれるエキストラの時間を、“25時間目”と呼んで、どのような過ごし方が可能で有意義か研究を重ねている。そしてアウディは、自動運転技術は一向に飛躍的に進化するものではなく、 段階的に進むものだと考えている」とした。

近未来のクルマには、「ドライバーのパーソナルアシスタントとして、AIが常駐し、クラウドと常時通信しながら安全に、快適に運行するだけでなく、ドライバーの気分や体調に応じて、音楽を選んだり空調を操作するなど、ドライバーをあらゆる面でサポートすることが出来る」と斎藤氏。

そこで、アウディブースのテーマが、“アウディAI”となったのだ。「来場したお客様はステージ上にある新型A8のシートに座って、アウディAIがイメージする新しい自動車を、映像や光のアートで体験することが出来る。また、全く新しいタッチパネルを介した操作系も体験出来る」という。

◇スポーツカーはなくさない

ここまで斎藤氏はクルマがこれからより便利に、快適になる未来について語ったが、その一方の極にあるクルマを運転する楽しみについても触れる。「アウディは完全自動運転の時代が到来しても、人がクルマを操る楽しみを持ったスポーツカーは決してなくならない」とし、「EVになっても我々の五感を刺激する『R8』のようなクルマは存在し続けるだろう。アウディがそう信じる証拠の一つが、ドイツメーカーとして初めて今期からフォーミュラEにファクトリーチームとして参戦することだ」と話す。

またR8や『RS3セダン』によるカスタマーレーシングは、日本でもスーパーGTや、スーパー耐久に参戦する機会を提供。昨年から本格的に展開しているアウディスポーツは、RS3セダンや『RS3スポーツバック』、『RS5クーペ』を発表し、来年は、「『RS4アバント』を発売する」と明かした。アウディが新開発した2.9リットル450馬力のV6エンジンを搭載することで、0から100km/hは4.1秒を記録し、「スーパースポーツ並みの性能を持つRS4は、まさに羊の皮をかぶった狼といえるだろう」と評価した。

そして、「AIによる高度な自動運転から、サーキットにおけるスーパースポーツまで、クルマは私たちにこれまでにないほど広がりのある多様な世界を提供している。その先にある未来を信じて、アウディはこれからも先駆けて跳躍することを続けていきたい」とした。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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