【ヤマハ YZF-R25 試乗】「カッコ良くて速い」をストレートに表現した…佐川健太郎

モーターサイクル 新型車
ヤマハ YZF-R25
ヤマハ YZF-R25 全 16 枚 拡大写真

『YZF-R25』はYZFシリーズの最高峰である『R1』で培われた走りのポテンシャルと軽二輪クラスの扱いやすさを高次元で調和させた250ccロードスポーツモデルだ。

水冷並列2気筒エンジンはカム直押し式駆動のDOHC4バルブやアルミ鍛造ピストン、軽量クランクなど最新技術を投入することで、低中速から高回転域まで全域にわたるハイパフォーマンスが特徴。ショートマフラーによるマス集中化や、優れたトラクションを実現するモノクロス式リヤサスとロングスイングアームを組み合わせるなど、R1の技術が惜しみなく注がれている。2014年のデビューから早3年が経つが、その走りの実力はいまだに一線級である。

一見してR1の血筋であることを主張するエッジの効いたスタイリングが目を惹くが、実際に跨ってみると意外にもセパレートハンドルは高めで、上体が前傾しすぎることもなく自然なライポジ。シートまわりも絞り込まれていて足着きも良好だし、ハンドル切れ角も十分に確保されるなど、日常で扱いやすさを考慮した作りになっていることが分かる。

36ps/12000rpmのスペックを誇るエンジンはクラッチをつないだ瞬間から力強いトルク感が印象的で、16kgの軽量な車体をスムーズに加速させていく。場所さえ許せば、7000rpmから一段と盛り上がるトルク感や、甲高いレーシングサウンドを響かせながらさらにレッドゾーンまで淀みなく吹け上がるパワーを堪能できるはず。ライダーに高揚感をもたらしてくれるヤマハらしいクリアな音質と伸びやかな上昇感が魅力だ。

エンジンとともに素晴らしいのがハンドリング。これは最新の解析技術による新設計フレームと作動性に優れる前後サスペンション、軽量化されたアルミ製ホイールの恩恵が大きいと思う。街を流しているときは乗り心地もソフトだが、やや速度を上げたコーナリングではしっとりとした接地感で路面を捉えてくれる。直立状態からの一発目の倒し込みは非常に軽いのだが、車体がバンクするに従って安定感が増していく感じで安心してマシンに身を任せられる。

スロットルを絞りながらコーナーに飛び込み、フロントフォークを沈ませながらきれいなRを描いて旋回していく感じがすこぶる気持ちいい。立ち上がりでアクセルを開けたときの小気味よいパルス感をともなった緻密な回転フィールは「クロスプレーンコンセプト」のR1に通じるものを感じる。とにかく走りが楽しいマシンだ。

彫りの深い端正なマスクやウェッジシェイプされた鋭いフォルムに加え、マルチファンクションメーターやLEDテールランプ、レーシングタイプのアルミ製フットペグなど、質感の高い装備も大きな魅力だ。

「カッコ良くて速い」というバイク本来の魅力をストレートに表現したモデル。加えて250ccならではの身近な扱いやすさも持っている。街乗りはもちろん、週末にワインディングでいい汗を流したい人にもおすすめしたい一台だ。
■5つ星評価
パワーソース:★★★★
ハンドリング:★★★★★
扱いやすさ:★★★★
快適性:★★★★
オススメ度:★★★★★

佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

《佐川健太郎》

佐川健太郎

早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。メーカーやディーラーのアドバイザーも務める。(株)モト・マニアックス代表。「Yahoo!ニュース個人」オーサー。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

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