【東京モーターショー2017】ダイハツ DNコンパーノ…皆さんの声次第では[デザイナーインタビュー]

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ダイハツDNコンパーノ
ダイハツDNコンパーノ 全 24 枚 拡大写真

東京モーターショーにおいて、懐かしい『コンパーノ』の名前がコンセプトカーで復活した。正式名称はダイハツ『DNコンパーノ』。1963年に発売したコンパーノの伸びやかでスタイリッシュなデザイン思想を継承し、大人2人がゆったりと過ごせる室内空間を実現した、コンパクト4ドアクーペだという。

◇コンパーノは小型車進出の旗印

----:なぜ今再びコンパーノの名前が復活したのでしょう。

ダイハツ工業デザイン室第一デザイン室ECDスタジオ副主任の米山知良氏(以下敬称略):ダイハツは軽自動車をメインに作ってきました。もちろん小型車もありましたが、今後は、軽自動車はもちろん、小型車の領域までしっかりと認知度も含めて広げ、売っていきたいという思いがあります。実は最初のコンパーノの時も、軽自動車から小型車進出の旗印として、1963年に登場したのです。そういう背景がありましたので、今回も小型の旗印としてコンパーノが相応しいと考えました。

----:DNコンパーノのデザインコンセプトは何ですか。

米山:ターゲットはシニア層です。そこで子育てが終わったシニアに贈る4ドアクーペとしました。旧型コンパーノをそのまま現代風に解釈しても単にレトロなクルマになってしまいます。そこで、全体を新しいシルエットで包みながらも、フロントの逆スラントノーズや、丸型ライト、縦長のリアコンビは継承しました。また、コンパーノにはシューティングラインと呼ばれるサイドモールが入っていますが、これをDNコンパーノでは造形で処理しエッジの効いたショルダーラインとして表現しています。これにより、コンパクトカーながら長くスタイリッシュに見えるデザインになりました。

全長は4200mmなので、とても小さいクルマです。日本のセダンのカテゴリーには小さくてスタイリッシュというクルマはないので、ダイハツならではの視点で作るとこうなるという提案なのです。

----:今回のコンセプトカーにはいずれも“DN”という名称がついていますが、これの意味するところは何でしょう。

米山:“DAIHATSU NEWNESS”。新生ダイハツの意味です。今年はダイハツ創業110周年記念なので新生ダイハツをさらにアピール。そこで小型車をメインに打ち出しているのです。

◇4ドアクーペの必要性

----:さて、ダイハツというメーカーが最も大事にしていることは何ですか。

米山:生活密着のクルマを作っているメーカーなので、お客様のライフスタイルに合ったものを細かく提案するということです。

----:なるほど。そうすると、新たな提案としてスパイダーというボディタイプはなかったのでしょうか。旧型コンパーノにはバンやベルリーナ以外にスパイダーもありましたよね。

米山:もちろん開発の最初期に案はありました。しかし、スパイダーだと実用性も限られます。しかも我々には『コペン』がありますので、ターゲットユーザーのことを考えると、スタイリッシュな使えるクルマとして、4ドアクーペが相応しいと考えました。

----:しかし、子育てが終わったシニア世代がターゲットですから、そこまで実用性にこだわるでしょうか。

米山:いざという時に孫を乗せることもあるでしょうし、4ドアですから普段の買い物にも使えます。先ほどお話ししたように、日々の生活に寄り添うことが我々の会社のポリシーなので、そこは大事に、絶対に外せないポイントです。

◇航空機のコックピット感を演出

----:今回はしっかりとインテリアも作り込んでいますね。そのデザインコンセプトを教えてください。

ダイハツ工業デザイン部デザイン室課長の芝垣登志男氏(以下敬称略):クオリティとスポーツの両立。そしてハイテクとアナログの両立のこの2つです。

----:パッと見るとセンターコンソール周りはとても斬新なデザインですね。

芝垣:コンパーノのイメージを踏襲しています。具体的には航空機のコクピット感を踏襲しながらも、先進的なところを融合したデザインにしています。

米山:室内のトリムやシートの縦のステッチなどにコンパーノのオマージュを入れて仕上げました。

----:シフト周りとセンターコンソールが繋がっていないところも斬新に見えます。

芝垣:やはり“ごりごりの”スポーツカーにしてしまうと、気軽に優雅に乗れませんので、先進的なバイワイヤーのところは残しながら、アナログ感はしっかり与えたい。なのでトグルスイッチのようなものを残しています。

----:グラスルーフになっているところも気持ちがよさそうです。

米山:室内の頭上高の低さをガラスでカバーしています。全高が1430mmなので、ガラスルーフ化することで解放感をもたらしています。

----:今回想定しているエンジンは1000ccのガソリンターボと、1200ccのハイブリッドとのことですが、市販化の予定はあるのでしょうか。

米山:残念ながら今のところ市販化の予定はありませんが、皆さんの声次第では……。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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