【SUPER GT 最終戦】DTMデモ走行で日本に“里帰り”したアウディのデュバル…「日独のメーカーが競えたらファンタスティックだ」

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デモ走行実施のためにツインリンクもてぎにやって来た「アウディRS5 DTM」とロイック・デュバル。
デモ走行実施のためにツインリンクもてぎにやって来た「アウディRS5 DTM」とロイック・デュバル。 全 8 枚 拡大写真

11~12日にツインリンクもてぎで開催されたSUPER GTの今季最終戦では、ドイツのトップシリーズ「DTM」のマシンがデモ走行を実施した。アウディのドライバーとしてやって来たのは日本レース界に馴染みの深いL.デュバル。彼も将来の“日独交流戦”に期待する旨を語っている。

SUPER GTのGT500クラスマシンとDTMマシンは共通技術規定に基づいて設計されたマシン。現在はエンジンが違うが、これも近い将来(2019年と見られる)にはDTMがGT500と同じ2リッター直4ターボ搭載へと移行して統一されることが、今回来日したDTMのシリーズ運営団体「ITR」のゲルハルト・ベルガー チェアマンから発表されている。

ここで誤解のないように言えば、SUPER GT(GT500)とDTMはシリーズ統一化を目指しているわけではない。技術規定の統一によってコスト削減を促し、自動車メーカー(マニュファクチャラー)が両シリーズに参戦できる機会と可能性を増して、それぞれのシリーズがさらに隆盛することを狙っての共同歩調である。

もちろん交流レースの実現も視野にあり、SUPER GTのシリーズ運営団体「GTA」の坂東正明代表はこれまでも「ワールドファイナル(的なレース)をやりたい」「何戦かは分からないけど、日独のマニュファクチャラーが出る新しいシリーズを」などの意向を語ってきている。

そして今年、10月のDTM最終戦(ドイツ・ホッケンハイム)でのGT500マシンのデモ走行実施に続き、SUPER GT最終戦でDTMマシンのデモ走行が実現した。しかもGT500×DTMのコラボレーション走行となり、日独の6大マニュファクチャラーのマシンが同時にコースを走る光景が現実のものとなっている。

DTMからはBMW、メルセデス、アウディという3つの現役マニュファクチャラーのマシンがやって来たわけだが、アウディ「RS5 DTM」のドライバーはロイック・デュバル。日本でのレース歴が長く、GT500のチャンピオン経験者でもあるデュバルは、日独両シリーズを結ぶ象徴的なドライバーともなり得る存在といえるだろう。

フランス出身、現在35歳のデュバルは日本のトップシリーズを主戦場としていた時期が長く、2009年にはフォーミュラ・ニッポン(現スーパーフォーミュラ)で、そして翌2010年にはGT500でチャンピオンとなり“日本最高峰2冠コンプリート”を達成。その後、アウディのドライバーとしてWEC(世界耐久選手権)でも活躍し、13年にはルマン24時間レース優勝とWECドライバーズチャンピオン獲得を果たしている。

昨季限りでのアウディのWEC撤退に伴い、今年はDTMがデュバルの新たな主戦場に。近年もWEC富士戦の際に来日していたデュバル、今年は違うかたちでの“里帰り”実現となった。

デュバルはDTMとSUPER GTの違いについて、「DTMはドライバーひとりのスプリントレースだが、SUPER GTにはドライバー交代がある。そして一番大きい違いはタイヤだ。DTMは(ハンコック社の)ワンメイク、一方のSUPER GTには複数のタイヤメーカーが参戦し、開発競争が行なわれている」と説明。「開発競争があるSUPER GTの方がハイグリップなのはもちろんだが、距離を走るとグリップが低下するのも必然だ。そこが勝負を面白くする要素でもあるよね」と“古巣”の魅力も解説する。

そしてデュバルは、両シリーズのコラボレーションの未来についても期待を込めてこう語った。

「GT500に参戦している日産、ホンダ、トヨタ(レクサス)は世界的にも強力なマニュファクチャラーだし、ドイツ(DTM参戦)のマニュファクチャラーもやはり強力だ。それが一緒に競う機会が実現すれば、とてもファンタスティックなことだと思うよ。今回、こうして我々(DTM側)がここに来て、(GT500×DTMによる)ワールドワイドなチャンピオンシップが可能であるということを見せるのには重要な意味があるし、本当に素晴らしいことだと思っている」

新しい未来に向かって、確実に第一歩を記したGT500×DTM。日本メーカーのDTM参戦、あるいはドイツメーカーのGT500参戦というのは当面難しいように思えるので、やはり期待したいのは交流レースの実現だ。デュバルも語るように、ファンタスティックなレースとなることは間違いない。もう少し時間はかかると思うが、大きな期待をもって、その時を待ちたい。

《遠藤俊幸》

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